「ブレない」「お母さん的存在!?」選手とコーチが語る、Vへ導いた真中監督の実像【新・燕軍戦記#14】
14年ぶりの歓喜──。史上まれに見る混戦を制し、東京ヤクルトスワローズが2001年以来のセリーグ制覇を成し遂げた。就任1年目でチームを優勝に導いたのは、現役時代からヤクルト一筋の真中満監督。その人となりを選手、そしてコーチに聞いた。
2015/10/04
「僕の中では『決してブレない人』」と畠山
1回、2回、3回……ヤクルトを14年ぶりのセリーグ優勝に導いた44歳の青年監督は、歓喜の胴上げで7回も宙に舞った。その監督──真中満は、現役時代はヤクルト一筋に16年間プレーし、4度のリーグ優勝&日本一に貢献したV戦士であった。
引退後は二軍打撃コーチ、二軍監督を経て、昨年は一軍チーフ打撃コーチに昇格。小川淳司前監督(現シニアディレクター)の退任に伴って今シーズンから新監督に就任し、いきなりリーグ制覇を成し遂げた。その真中監督は、選手やコーチから見てどんな指揮官なのか。
「僕の中では『決してブレない人』ですね。実際、今年はずっと攻撃的な野球をしてきてブレてないですし、腹が据わってるからそのへんはドシっとしている感覚はありますね」
そう話すのは、シーズン途中から四番に座って自身初の100打点をマークした畠山和洋。その「攻撃的な野球」の象徴が、川端慎吾の二番起用だろう。現在、リーグの打率トップを走る川端は、真中監督についてこんな話をしている。
「二番ですけど、ダブルプレーは気にしなくていいって言われてます。『ノーアウト一塁でも打たせるからゲッツーは多くなると思うけど、そんなの全然気にしなくていい』って。だから、あんまり二番バッターだと思って打席に入ってないですし、たとえばノーアウト二塁でもランナーを進めるというよりは、ヒットを打ちにいくっていう感じですね」
だから今季のヤクルトは犠打が少ない。チーム104犠打はリーグ最少。それどころか、DH制で基本的には投手が打席に立たないパリーグでも最少の東北楽天(103)と、ほとんど変わらない。そんな攻撃野球を貫く真中監督だが、今年から正捕手として独り立ちした中村悠平の目にはこう映っている。
「制限をしないというのはありますね。今年から『自主性』っていうことも言ってますし、ノーアウト一塁だからってバントと決めつけず、打たせたりしますし。リードに関しても、打たれたからといって『なんで(その球を)投げさせたんだ』っていうことは一切ないんで。去年、まだ(真中監督が)打撃コーチの時ですけど『真っすぐ(ストレート)を打たれたからって真っすぐがダメなわけじゃない。それがいいと思っていって(要求して)打たれたんだから、結果はしょうがないんじゃないか』って言われたこともあります」
今でも指揮官の言葉に、背中を押されることは少なくないという。
「『ちょっと窮屈になりすぎてる感があるから、もっと思い切っていってもいいんじゃないか』みたいなことも言ってくれますし、僕もそういうので大胆にいけたりっていうところはありますね」