巧打者多し。関本、小窪、福浦、矢野ら「代打」一振りに懸ける職人【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は代打の切り札についてだ。
2015/10/04
少ない打席で結果を残す代打の切り札
一人目は広島の小窪哲也だ。
PL学園、青山学院大から2007年ドラフト3巡目で入団。小柄ながらシャープな振りで鳴らす。今季も先発出場は一ケタ。代打として、ここ2年の成績は素晴らしい。
二人目は福浦和也。
好守好打の一塁手として1910安打を打っている。過去5年間で2度代打率4割をマーク。本塁打は少なくなってきたが、ほしい時に安打を打てる巧打者だ。
次に矢野謙治。巨人では外野の控えに右の代打として鳴らしたが、今季途中に日本ハムに移籍。最初の試合で6番に起用され、6打数3安打。ここ2年は、代打としては実績は残していない。
最後に金城龍彦だ。
過去、首位打者にも輝いたこともあり、バットコントロールは球界屈指。DeNAでは代打の切り札として鳴らした。両打ちであり、起用しやすい打者でもあった。
ちなみに代打の通算安打数1位は、広島・宮川孝雄の186安打、続いて阪神・桧山進次郎の158安打だ。代打本塁打は阪急の高井保弘の27本。
プロ入りするときに「代打の切り札になりたい」と思う選手はほとんどいないだろう。
チームや個人のいろいろな事情があって、代打専業は生まれる。
レギュラーにもならず、戦力外にもならず、長年代打で起用され続けることは難しいが、一振りで状況を変える代打は、地味ながらも野球の魅力の一つだ。