顕著に表れたバッテリーの課題。勝てるチームへ――黎明期の役割を終えた中畑DeNA
DeNAベイスターズ誕生以来、チームを指揮してきた中畑清監督が今季限りで退任した。4年目の今季は前半戦を首位でターン。クライマックスシリーズ進出も十分に狙える位置だったが……最終的には最下位に終わってしまった。
2015/10/15
ベースボールチャンネル編集部
捕手を固定できず
そして投手陣に付随し無視できないのは捕手の問題である。
今シーズンは黒羽根利規、高城俊人、嶺井博希の3人が起用されたが、スターティングメンバーの内わけを見ると黒羽根42試合、高城40試合、嶺井61試合というように正捕手不在を印象付けるものでしかなかった。
それぞれリードや打撃、肩などに特性を持つが、いずれも不動の扇の要になるほどの実力は持ち合わせておらず、特に荒れ球を体で捕球できず後逸する場面が多く見られファンをやきもきさせた。1シーズン69暴投はプロ野球新記録であり、さらに捕逸(11個)も加わり、バッテリーの問題の大きさもチーム不振の要因であると言える。
シーズン終了も押し迫った9月29日の甲子園での阪神戦、9回裏の同点の場面でマウンドに三上が上がると、先頭打者を暴投振り逃げで塁に出し、続いて犠打失策で1、3塁とピンチを拡大させ、最後は嶺井の捕逸により無安打でサヨナラ負けを喫したが、まさに今シーズンのDeNAを象徴する場面だった。
試合後、この4年間“諦めない野球”を標榜してきた中畑監督は「ギブアップ。今季の負けっぷりを最後の1イニングで見せてしまった。凡ミスの1年だった」と語っている。あまりのチームの体たらくに自虐の意味も込められているのだろうが「ギブアップ」という言葉は、中畑監督の口からは決して聞きたくはなかった。
不振に陥った原因は、選手も首脳陣も自分たちの野球を見失ったことにあると考えられる。春先の好調時、選手として中日で優勝経験のある小池正晃打撃コーチは次のようなこと語っていた。
「このままうまくいくほど甘くはない。必ず壁にぶち当たるし、チーム状態が悪くなるときが来る。けどその時、今やっている野球を思い出せるかどうかだと思います」
優勝経験のなく、厳しいシーズンを過ごしたことのなかった若い選手たちは、それを最後まで思い出すことはできなかった。