顕著に表れたバッテリーの課題。勝てるチームへ――黎明期の役割を終えた中畑DeNA
DeNAベイスターズ誕生以来、チームを指揮してきた中畑清監督が今季限りで退任した。4年目の今季は前半戦を首位でターン。クライマックスシリーズ進出も十分に狙える位置だったが……最終的には最下位に終わってしまった。
2015/10/15
ベースボールチャンネル編集部
DeNAの礎を築いた中畑監督の功績
また中畑監督も指揮官として終盤にかけ首位戦線を争った経験がない。好調だった前半戦は、積極的な盗塁やラン・アンド・ヒットなど足をからめたダイナミックな攻撃が良く見られたものだが、後半戦はミスを恐れたのか掻き回すような戦術はなりをひそめ、クリーナップ頼みの淡白な攻撃に終始していたように感じられる。
ちなみにオールスター前は85試合で40盗塁したが、不振だったオールスター後は58試合で17盗塁と総体的に数字を落としている。
昨年は借金8でシーズンを終え、今年は借金18。一昨年が15であることを考えると右肩上がりだった成績は、ここで下降線を描いてしまったというわけだ。もはや中畑体制は限界と見られても仕方がない。
確かに中畑監督のDeNAというチームへの貢献度は計り知れない。
世代交代を成し遂げ、DeNA以前の旧体制のベイスターズに比べ、数字を見ても確実にチーム力をアップさせている。そして自称広報部長として自ら体を張ることで世間からの注目を浴び、常に話題を提供し、フロントと足並みを揃えスタジアムの動員増加に一役買った。昨年23回だった満員御礼は今シーズン43回を数え、加えて球団史上2回目となる180万人超の集客を記録した。
おそらく中畑清という人間が監督でなかったら、ここまでのチーム内の変化や、球団の人気急騰はなかったといっても過言ではない。ハマスタ最終戦のセレモニーでチームを4年間一度もAクラスにできなかった敗戦の将は、スポットライト中、たくさんの熱い声援を浴び、惜しまれながらチームを去っていった。
残酷な言い方をすれば、DeNA黎明期における中畑監督の役目は終わったといっていいのかもしれない。額に汗し歌いながら荒地を耕し、種を蒔き、水を与え、萌芽させた。やれたことはここまで。あとは育て方を間違えず、継承し、花を咲かせられる人にバトンタッチすべきだろう。
戦えるチームから、勝てるチームへ――いずれは「中畑監督時代があったからこそ優勝できた」と、選手たちの口から聞ける日が来ることを願ってやまない。