村田は生え抜き以上に愛せる存在。日本シリーズで菅野対ソフトバンク打線を見たい 【音楽と野球 林 幸治さん(TRICERATOPS)インタビュー#2】
前回に続き、登場してくれるのはロックバンド・TRICERATOPSのベース&コーラス・林幸治さん。大の巨人ファンである。前編では、今シーズンの振り返りと、クライマックスシリーズへの意気込みを伺った。後編では、ファン熱が増すきっかけとなった人物・松井秀喜さんにまつわる話に加え、今後のチームに期待することを明かしていただこう。
2015/10/10
松井の試合を見るためにニューヨークへ!
――前回のお話では子どもの頃からの巨人ファンだと。ご自身も野球少年だったのですか?
小学校低学年の頃は、近所の神社でやっていましたね。カラーバットにビニールテープをぐるぐる巻いて太くすると、けっこう飛ぶんですよ。それで神社の壁を越えたらホームランみたいな。4年生になってようやく少年野球のチームに入れてもらったんですけど、当時「キャプテン翼」が流行っていたので、他の子たちは、だいたいサッカーをやっていました。チームに同じ学年のヤツが3人しかいなかったから、ろくに練習もできなくて。僕も日曜日だけは野球をして、他の日はサッカーをやっていました。しかも、野球は大好きなくせに、根性論とかスパルタ的な考え方が大嫌いで、コーチにも反抗的な生意気な小学生でした。中学でも野球部に入ることはなかったです。それは坊主にするのが嫌だったから(笑)。
――なるほど(笑)。前回は名前をあげませんでしたが、何でも松井秀喜さんの大ファンなのだとか?
そうなんです。もともと巨人ファンでしたけど、熱烈になったのは松井がきっかけですもん。高校野球甲子園大会での5打席連続敬遠も見ていましたし。その後、どこに行くんだろうなって思いながらドラフト会議を見ていたら、長嶋監督自身がくじを引いて当てたという…。もう、運命というか「これは巨人の4番だ!」って思いましたね。メジャーに移籍した時、ニューヨークまで行ったこともあるんですよ。
――えっ! 松井さん目的で?
そうです。松井を見るために一人でニューヨークに行ったんです。それまでアメリカ大陸に興味がなかったわけではないけれど、行きたい場所・目的がなかったんですよ。だけど松井が僕をニューヨークに連れて行ってくれたんです。英語も中学・高校で習った程度しかわからないのに…。だから、ホテルに着いたのはいいけど、禁煙ルームで、それを説明して部屋を変えてもらうのにも時間がかかって。変えてもらった部屋がすごくいい部屋でキッチンまで付いていたからよかったですけど(笑)。その後急いで電車に乗って、ヤンキースタジアムに着いたら、ここでまた席がよくわからなくて。そのまま座っていたら、ごっついおっさんにスゲー怒られて。隣に座っていた子どもにもバカにされて(苦笑)。そうこうしながらも自分の席に辿り着いた時には「きついなぁ」って疲れて果てていました。そしたら、松井が出てきたわけですよ。久しぶりに見た日本人ですよ。もう「友達がいたぁ」みたいな気持ちになりましたね(笑)。
――本命に会うまでには苦労があったんですね(笑)。試合結果はどうでしたか?
2回見に行って1勝1敗。ホームランは打たなかったけど、ヒットは打ってくれました。松井関連のエピソードは、他にもあります。巨人時代に話が戻るんですけど、地元の友達と東京ドームに試合を見に行ったんです。ちょうどその友達の彼女が地元の長崎に帰って、遠距離恋愛になるか、別れるかという時で、友達は別れたくないってずっと言っていて…。そんな状態で試合を見ていたんですけど、松井が2本ホームランを打ったんです。それで盛り上がって「また松井がホームラン打ったら、俺プロポーズしに長崎まで行くわ」って言い始めて。そしたら打ったんです、ホームランを! 松井が1試合で3本ホームランを打ったのは、僕が知る限りその試合だけなんですよ。野球選手ってすごいなぁと思いましたね。人の人生を動かすことができちゃうんだなぁって。結局友達は振られたんですけどね。だけど、長崎まで行ったんです。