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CSファーストステージ開幕。公式戦残り10試合の勝率が、勝負の分かれ目?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は10日から始まるクライマックスシリーズについてだ。

2015/10/10

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 クライマックスシリーズ(CS)が始まる。ファーストステージはペナントレース2位、3位のチームが優勝チームへの挑戦権を争う。3試合制、先に2勝したほうが勝ち上がるが、2位チームは1勝1分、3分でもよい。0.5勝アドバンテージがある。

 わずか3試合の短期決戦。戦力を見るうえでのキーワードは「時価」だ。
 クライマックスシリーズが両リーグで始まった2007年以降、ファーストステージを勝ち抜いたチームの公式戦最終10試合の勝率は、87勝69敗4分の勝率.558。
 負けたチームの同じ数字は77勝77敗6分の勝率.500だ。

 中には2013年パリーグのように9勝1敗で来た2位の西武が4勝6敗の3位ロッテに敗れる波乱もあるため断言はできないが、終盤まで勢いがあるチームのほうが優勢だ。

シーズン最終盤でロッテがスパート

 シーズン通じての勝率やチーム打率、防御率よりも、直近のチーム状態のほうが重要だ。 今、どれだけ戦えるかが最大のポイントだ。
 ここでは、9月20日以降のチーム力に限定して戦力を見ていこう。

 パリーグから、9月20日以降のチームの成績 P勝率=ピタゴラス勝率は得失点で算出した勝率を算出してみた。

広尾様1009表1

 2位の日本ハムは、9月18日にCS進出が決まった。以後11試合、4勝7敗と低迷した。ロッテはこのとき西武に1ゲーム差の4位。ここから両チームが激しく競り合った。その後ロッテは、残る14試合を12勝2敗とスパートして西武を振り切った。
 チームの勢いの差ははっきり出ている。ピタゴラス勝率も投打の数字も大きな差があり、日本ハムがロッテに勝っているのは、本塁打数だけだ。

打線の状況は対照的

 個別の選手について見ていこう。主要打者からだ。

広尾様1009表2

 日本ハムはレアードと、まだ19歳の淺間大基がよく当たっている。しかし他の打者は湿っている。主力選手の状態が気がかりだ。
 一方のロッテは、荻野がリードオフマンとして活躍している。鈴木、伊志嶺、中村奨吾とつなぐタイプの打者が元気で、主軸に回している。デスパイネが四球をよく選んでおり、その後ろを打つ5番打者、特にこの期間で高打率をマークしたベテラン・福浦らの働きがポイントではないか。

両チーム投手陣はほぼ互角

 主要投手を見てみよう。

広尾様1009表3

 投手陣に関しては大きな差はない。
 日本ハムはエースの大谷翔平、中村勝が好調。リリーフ陣は、白村、増井らは失点しているものの、シーズンを支えたリリーフ陣に加えて高梨、金平、屋宜らが元気だ。先発が試合をつくり、リードしている展開で中盤以降は小刻みな継投になりそうだ。

 ロッテはエース涌井が最多勝を取るために大車輪の活躍も、延長10回を投げ切っただけに疲労が懸念される。CSは初戦の先発は石川が濃厚で、涌井がどこで投げるのか注目される。
 ただ先発のチェン・グアンユウ、大嶺も結果を残しており、さらにリリーフ陣も西野離脱後に抑えで結果を出している内をはじめ大谷、藤岡、松永らも好調を維持している。

 打線ではロッテが有利、投手陣はほぼ互角という状況で、直近のチーム力を比べると、ロッテに勢いはあるか?

【次ページ】勢いの差は明白
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