苦手な投手を作らず。トリプルスリー達成、ソフトバンク柳田のお得意様は?
ホークス連覇の中心選手として活躍した柳田悠岐。パリーグでは2002年以来のトリプルスリーを達成した。シーズン終盤に死球で欠場が続いたが、クライマックスシリーズファイナルステージでは、柳田の活躍は必須条件だ。
2015/10/10
各球団のエース相手に高打率
今年のプロ野球、2人の若武者がチームの優勝を手繰り寄せる目覚ましい槍働きをみせ、世間を驚かせた。
セリーグではヤクルト・山田哲人がファンを魅了。パリーグではソフトバンクの柳田悠岐がライバル球団を席巻。この両人の一挙一動にNPBの未来や可能性を垣間見た野球好き、多かったはずだ。
2人の活躍は贔屓球団の枠を越え、後世長く語り継がれることになるに違いない。
山田は打率.329、38本塁打、34盗塁。本塁打王、盗塁王、最高出塁率(.416)を獲得。柳田は打率.363、34本塁打、32盗塁。柳田は終盤、脛骨骨挫傷に見舞われ、日本ハム・中島卓也と競っていた盗塁王を惜しくも逃すことになった。
とはいえ、西武・秋山翔吾との高いレベルでの一騎打ちになった首位打者を見事に制し、最高出塁率(.469)をも手中に収めている。山田とともに2人揃ってのトリプルスリーは1950年以来実に65年ぶり、パリーグでは2002年の松井稼頭央以来13年ぶりの快挙となった。
さて、ここで柳田の投手別の対戦成績を確認してみたい。今季、対戦打数10打数を超えた投手11人との成績を書き出してみると、下記になる。
東明大貴 .286、21打数6安打、2本塁打
金子千尋 .400、10打数4安打
吉川光夫 .143、14打数2安打、1本塁打
大谷翔平 .273、11打数3安打、1本塁打
有原航平 .400、10打数4安打、1本塁打
涌井秀章 .391、23打数9安打、2本塁打
イ・デウン .182、11打数2安打
牧田和久 .375、16打数6安打、1本塁打
野上亮磨 .353、17打数6安打
郭俊麟 .455、11打数5安打、2本塁打
戸村健次 .600、10打数6安打、1本塁打
11人中7人から.350以上の高打率を記録した。
MLBとは異なり、NPBではシーズン中に何度も同じ顔ぶれと当たる。好成績を残すには、他球団の主戦級投手の中で苦手を作らないことが肝心になってくる。
今季の柳田はその理想を体現した。
逆に11人中打率1割台とかんばしくない結果は吉川とイ・デウンの対戦時のみ。打率.143に抑えられた吉川との対戦でも、5月23日の試合では吉川の145キロの速球を捉えて、逆方向の左中間へ放り込む8号ソロを放っており、一矢報いるかたちになった。
この対戦結果を見て、トリプルスリー首位打者・柳田が今シーズン最もお得意様にしたのは、ロッテ・涌井秀章と言えそうだ。
最多勝投手から記録した9安打は柳田が同一投手から放った最多安打になっており、ホームランも2本を記録している。文句なしだ。