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「看板スター」西川退団で一時代の終焉。若手チャンス、新スターは誰に?【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#163】

今オフにファイターズは西川遥輝、大田泰示、秋吉亮を「ノンテンダーFA」とした。シーズン中に移籍した中田翔を筆頭に、これまでチームを支えてきた主力選手の退団によってチームは新しい時代へ突入する。

2021/12/25

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来季、12球団トップ級に若いチームに

 話を戻そう。断じて「戦力外」ではない。例えば大田泰示は中田翔が去って小粒になった新チームの4番候補のひとりだった。球団としては野村佑希、清宮幸太郎を売り出したいところだろうが、実績でいえば2019年に打率.289、本塁打20本、打点77を残してる大田が一歩先を行く。外野守備でもゴールデングラブ賞に輝いていて、淺間、万波より(世間的には)評価が高い。
 
 西川遥輝は長くファイターズの1番打者を務めた。彼も今季不調だったが、OBの岩本勉氏などは「ハルキは3番バッターに進化できる」が口癖だった。選球眼が良く出塁率が高いため、これまでチャンスメークにまわることが多かったが、狙って長打が打てる資質を備えてるというわけだ。外野守備はゴールデングラブの常連だったが、近年は肩の弱さが目立ってきた。俊足で守備範囲が広いからレフトが適任だろう。
 
 秋吉亮はクローザーとして獲得した選手だ。リリーフ経験はピカイチ。パ・リーグでも仕事をしてくれたが、身体が疲れるとつかまり出す。起用法の問題なのか判断が難しい投手だ。
 
 つまり、西川、大田、秋吉は揃って不振をかこつ身の上だが、ポテンシャルは一級品なのだ。うまくハマれば3、4番打者とクローザーという、チームの軸に化ける可能性がある。そんな選手を市場に出したところが「ノンテンダーFA」の新味なのだった。いや、うまく交渉すればこの3人で相当な選手をトレードで獲れたんじゃないかと思える。それが(中田翔のような)無償トレードですらなく、自由契約だったのだ。
 
 若い選手が出てきたタイミングということは言える。前述の淺間、野村、清宮、万波といった層に出場機会を与えたいところだ。選手は試合に出て伸びるから、実戦起用するのがいちばんだ。
 
 といって西川、大田、秋吉は看板スターだろう。そこに中田翔を加えれば「チームの顔」というところだ。それを今回、ごそっと入れ替える作業をした。新庄ファイターズには古株がいなくなった。キャリア豊富な選手が残ってないわけじゃないが、今回の選手の切り方を見れば「古株」としてデーンと構えてる者はいないだろう。それでなくても新監督というのは(自分の色を出すために)若手を起用したがるものだ。
 
 まぁ、「チームの顔」「看板スター」と別れる寂しさ、つらさは喩えようがない。残り少ない今年いっぱいくらいは別れを惜しみ、思い出に浸っていたいのだ。で、年明け、新人合同自主トレからは頭を切り替えようと思う。どんな選手が新スターになってもおかしくない。来季の開幕スタメンがぜんぜん読めない。ファイターズは12球団トップ級に若いチームになった。ひとつの時代が終わり、次代にバトンを渡す。

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