“秋ロッテ”史上最高勝率で堂々のCS進出!! ここからがゴールデンイヤーの幕開けだ!!【ほぼ月刊マリーンズ#7】
相次ぐ主力の離脱で満身創痍となりながらも、土壇場でライオンズをかわしてクライマックスシリーズ進出を決めたマリーンズ。今回は、春先からひたすら唱え続けてきた“ゴールデンイヤー”の成就に向け、ファンにも選手にも“朗報”と言えるデータをひとつ紹介しておきたい。
2015/10/09
137球粘投の涌井が魅せたエースの矜持
2015年シーズンのパ・リーグ最終戦となった10月6日の対イーグルス戦。マリーンズは、延長10回をひとりで投げぬいたエース涌井秀章が15勝目を挙げて、自身3度目となる最多勝を獲得。チームも貯金を今季最大の「4」にまで伸ばし、最高のかたちでシーズンを終えた。
むろん、すでに順位も確定して“消化試合”と言えなくもないあの段階で、エースをあそこまで引っぱったことは、某夕刊紙的に言えば「正気の沙汰とは思えない」行為でもあっただろう。
だが、たとえあの“引っぱり”が個人タイトルを優先させた結果だったとしても、シーズン序盤はからっきし勝てずに“鬼門”とまで呼ばれた仙台で、苦手のイーグルスを相手に勝ち越しを決めたことの意味は、ことのほか大きかったと言っていい。
なにしろ、あの試合までのイーグルスとの対戦成績は、12勝12敗とまさに五分。尋常じゃない強さをみせた首位ホークスとの最後の3連戦に勝ち越して、対ホークス戦では5球団唯一となる2ケタ勝利を挙げ、“天王山”となったライオンズとの直接対決にも劇的に勝利。
イーグルスと並んで苦手にしていた2位のファイターズには、最終盤で4連勝を飾って、対戦成績をほぼ互角の借金「1」にまで肉迫……と、ただでさえ、いい流れができていたところへ来てのあの最終戦である。
エースが粘りに粘って「下位3チームすべてに勝ち越し」になるのと、試合を作りきれずに「最下位チームに負け越し」とでは、たかが1勝と言えども、周囲に与える印象は雲泥の差。
そんな実質的に「負けられない一戦」に、他ならぬエースがその矜持をみせたことは、決して「CS初戦敗退がお望み」などではなく、クライマックスシリーズという大一番を控えるチームをさらに勢いづかせる、このうえないほど大きな1勝でもあったのだ。