接戦を制して勝ち上がったロッテと巨人。ファーストステージの勝因と敗因
ファーストステージは、2位の巨人と、3位のロッテがファイナルステージへ進出した。勝敗を分けた部分はどこにあったのだろうか。
2015/10/13
ファーストステージ開幕前のコラムでは、データとあわせて「公式戦終盤に勢いがあったチーム」が勝利する傾向にあると紹介した。
今年も、この法則は生きていたようだ。ファーストステージは、巨人・ロッテが勝利した。勝敗の差を分けた点はどこにあるのだろうか?
まずはパリーグからだ。
初戦、大谷がすべて
■ロッテの勝因 競り合いに強い「体質」とベテランの「経験」
ロッテはペナントレースの最終10試合を8勝2敗で終えた。
10試合のうち6試合が2点差以内の勝負(ロッテの4勝2敗)だった。
特に9月28日の3位争いの天王山となった埼玉西武戦では、3回に逆転に成功して4-2で勝利。
クライマックスシリーズ進出決定となった10月5日の日本ハム戦は、2点差で迎えた3回に3点を奪って逆転に成功し、最終的に5-3の2点差で勝利した。
ちなみに今季公式戦の最終戦は、3-3の同点からの延長戦となり、11回に一挙6点をうばった(結果は9-3)。
終盤になって涌井、石川だけでなく大嶺やチェンの先発陣に安定感が出てきた点、守護神の西野が骨折で離脱したものの、内がそのポジションに入り、さらに8回の大谷の他に益田、松永らリリーフ陣が計算できるようになったのも大きい。
今年のロッテは「圧勝」ではなく「競り合い」を制する中で、勢いを加速させてきた感がある。
ファーストステージのような息詰まる勝負を、ロッテはシーズン終盤から何度も経験してきた。そして「勝つ味」を知っていた。クライマックスシリーズ初戦、日本ハムの大谷をKOしたロッテの勢いは、2位日本ハムを上回った。
福浦、今江、井口らポストシーズンを経験しているベテランが結果を残したというのもファーストステージを勝ち上がれた要因だろう。
■日本ハムの敗因 初戦、大谷翔平で敗戦
リーグ最多勝を含む、投手三冠に輝く大谷翔平をシリーズ初戦に登板させるのは、チームとしては当然の采配だ。
しかし大谷はポストシーズンでは過去2回の登板で13回自責点7、防御率4.86(1勝1敗)。打者としても17打数3安打の.176と結果を残せていない。
今回、栗山監督は大谷をシーズン最後の先発を飛ばして、クライマックスシリーズの初戦にあわせてきたが、結果は2回2/3、5失点でKO。
3戦目、8回裏のチャンスに代打で出場したが、空振り三振に終わった。
これほどの実力がありながら、ポストシーズン独特の雰囲気がプレッシャーになっているのだろうか。
ちなみにロッテは涌井が最多勝をかけた最終戦の先発を伊東監督に直訴し、延長10回まで投げたことで、初戦にエースを起用できなかった。
エースと心中した日本ハム、エースは3戦目に待機させて、総合力で戦ったロッテ。
初戦・大谷で星を落とし、2戦目は終盤に逆転勝利したものの、重苦しい雰囲気は払しょくできなかった。