カープV逸も来季へ光。チームメイトに多大な影響を与えた黒田と新井の功績
今季開幕前は優勝候補と言われながら4位に終わったカープ。伸びしろ十分の若手や近年伸び悩んでいた選手にとって、黒田・新井の存在はとてつもなく大きなものだった。
2015/10/30
戦う気持ちを注入された鈴木
シーズン最終戦のテレビ中継の視聴率は44.5%(広島地区)をマークした。14年ぶりのV奪回へカープファンの期待値を最高に高まっていた。
前田健太、福井優也、大瀬良大地らを中心とした若き投手陣はリーグ屈指の陣容を誇り、菊池涼介、丸佳浩を軸にしたセンターラインは充実の一途だった。
一貫したチーム方針に基づく強化で、若き選手たちが「投手力を中心とした守りの野球」「機動力野球」の伝統を見事に蘇らせようとしていた。
そこに、黒田博樹と新井貴浩がチームに復帰したわけだから、優勝への期待が高まるのは当然のことだろう。
しかし、勝負の世界はわからない。「開幕ダッシュの失敗」と「シーズン終盤の得点力不足」で、カープは優勝どころかクライマックスシリーズ進出も逃してしまった。
ただ、両ベテラン選手の魂の入ったプレーは、チームメイトにも多大な影響を与えた。
中4日も厭わずフル回転する。120球を超えても次なるイニングのマウンドに挑もうとする。マウンドでも打席でもボールに向かっていく。40歳の右腕が見せる気迫は「プロ野球」そのものであった。
38歳になった元・4番は全力プレーを怠ることなく、怪我でもグラウンドを離れなかった。そして、いつしか「カープの4番」を再び背負っていた。
伸び盛りの鈴木誠也は言う。
「シーズン途中に、調子を落として自分のフォームや形ばかりを考えていたとき、黒田さんや新井さんの戦う姿を見て、感じるところがありました。これが野球選手なのだ。戦う対象は自分ではなく、相手チームなのだ。そのように気づかされました」
身体能力も高く、研究熱心さではチームトップクラスの鈴木は、「戦う気持ち」というスパイスが注入されたことで、シーズン終盤に、持ち前のポテンシャルをいかんなく発揮するようになっていった。