リード面で成長著しい燕の正捕手。日本シリーズは中村VS.ソフトバンク打線の構図【野口寿浩の眼】
クライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージは、パリーグはソフトバンクがロッテに、セリーグはヤクルトが巨人に勝利し、それぞれ日本シリーズ進出を決めた。 ともにペナントレース優勝を飾ったチーム同士の戦いとなる日本シリーズ。見どころを元ヤクルトや日本ハムなどでプレーされた解説者の野口寿浩氏に語ってもらった。
2015/10/24
打線の破壊力はソフトバンクよりも上。バッテリーがカギに
一方のヤクルトも、初戦こそ巨人投手陣の前に1点に抑え込まれ敗れましたが、2戦目から3連勝でCS突破を決めました。
シーズンに比べ、打線はやや硬さがあったように思いますが、それでも川端慎吾、山田哲人、畠山和洋のタイトルホルダーはいつも通りの活躍を見せてくれました。それにバレンティンも復調の気配があり、彼が本来のバッティングをすると、破壊力はソフトバンクの上を行くかもしれません。
ただ、今回のCS突破の原動力になったのは、ヤクルトバッテリーだと思います。特に、捕手の中村悠平の成長ぶりには驚きました。
シーズン終盤あたりから、3連戦(1カード)をひとつとして考えられるようになってきました。それがこの短期決戦でも発揮され、目先の1試合、1打席ではなく、CSを勝ち抜くためのリードをしていたと思います。
たとえば、このシリーズで阿部慎之助には17打数11安打(打率.688)と打ち込まれましたが、すべてシングルヒットで、打点は2しかない。要するに、ランナーのいない場面では打たれてもいいからホームランだけは避けようという攻め方をし、得点圏にランナーがいる場面では徹底的にインコースを突き、ガラリと配球を変えてきました。
打たれていい場面とそうでないところのメリハリが、バッテリー間でしっかりできていました。好調の阿部を無理に抑えにいくのではなく、前後のバッターを確実に打ち取る。その攻めを最後まで徹底したあたり見事でしたね。
日本シリーズでも第1戦で相手を研究し、2戦目以降のリードに生かしてくるはずです。中村VSソフトバンク打線に注目です。中村がソフトバンク打線をどう料理していくのか、今から楽しみですね。
ともにリーグ優勝チーム同士の戦いとなる日本シリーズ。第7戦までもつれるような気がします。戦力的にはソフトバンクのほうがやや上のような気がしますが、ヤクルトは相手のミスにつけ込むのがうまい。CSでも巨人が犯したミスをことごとく得点に結びつけてきたように、試合巧者ぶりを発揮しました。そうした要素を加味し、そしてなにより私がお世話になった球団ということで、4勝3敗でヤクルトが勝つと予想します(笑)。