【2022DeNA・戦力分析】捕手・遊撃手の育成と、牧秀悟の起用法がポイント
2022/03/04
DELTA・竹下弘道
4.今季の選手供給の見込みは?
ここまでに論じた補強ポイントを踏まえて、DeNAが新しい選手をどれだけ用意できるかを見ていきたい。一軍に選手を供給する手段は、①二軍から選手を引き上げる、②ドラフトで獲得する、③国内外の他チームから獲得する、の3つだけだ。それぞれの手段について、どのような選手供給が見込まれるかを見ていこう。
まずは二軍だ。二軍において得失点差への寄与が優れる選手は、一軍でも得失点差を改善する見込みが強いと言える。ここでは各選手が得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを調べた[4]。統計的に野球選手は若いほど成長の余地があるため、年齢も併記した(図5)。若くて優秀な左上の選手は一軍定着を期待しやすいと言える。
遊撃手でレギュラー候補となるのが19歳の森敬斗だ。持ち味の守備は二軍上位レベルにあり、低迷しているDeNAの遊撃守備を改善できる可能性がある。一方で打撃は長打力に光るものがあるが、選球眼やコンタクトは二軍平均以下に留まるなど課題も多い。今季中のレギュラー定着は、打撃面の課題を解消できるかにかかっている。
捕手では21歳の益子京右が左上のゾーンに入っている。守備は標準的なレベルにあるが、打撃は二軍捕手の中だと高水準にある。今季中の一軍レギュラー定着は難しいと考えるが、将来的な正捕手候補として名前が挙がってくる選手と思われる。
次はドラフトを見ていこう(図6)。育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なため、支配下契約の選手のみを見ていきたい。
ドラフトでは高校生No.1投手の小園健太を獲得。投手の指名割合もセ・リーグで2番目に高い投手重視ドラフトになった。先発のマイナス圧縮を確実にする上では、一定の効果が見込める指名ができたと言えるだろう。
一方、野手の補強ポイントへの動きを見ると、4位で遊撃手の粟飯原龍之介を指名したのみとなっている。今季中に高校生の粟飯原を戦力化するのは難しく、捕手・遊撃手・一塁手では新人による底上げはほとんど見込めない状況だ。
最後に補強を確認する(図7)。こちらも育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手だけを見ていく。
外国人枠で救援投手のブルックス・クリスキー、自由契約となった選手では二塁手の藤田一也、外野手の大田泰示を獲得している。
補強ポイントへの動きという観点で見ると、藤田は遊撃起用できる可能性がある。しかし、40歳で遊撃手を務められた選手は歴史的に見てほぼ皆無である。往年の藤田は遊撃守備も天下一品だったが、年齢を考えると遊撃手として期待するのは厳しそうだ。
DeNAの外野陣を踏まえると大田の獲得は不可解に見えるが、これは佐野を一塁に入れるオプションを機能させるためだと思われる。外野陣をより手厚くできれば、佐野を押し出すかたちで一塁手を底上げできる。佐野は外野守備を苦手としているため、ネフタリ・ソトの調子次第ではこの布陣の方が得失点差を改善できる可能性が高い。