チームに不可欠な「BOSS組の逆襲」。カギ握る中島卓也らレギュラークラスの選手の働き【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#168】
開幕まで残り約2週間。ファイターズは「BIG組」にルーキーはじめ若手選手が多く起用されている。一方、鎌ヶ谷の「BOSS組」には昨シーズンまでのレギュラークラスの選手が勢ぞろい。彼らが与えられた場所で活躍してこそ、チーム力は一気に高まる。
2022/03/06
「BOSS組」の呼称は残る?
個人的にはごひいき選手の中島卓也が見られておトク感があった。ていうか、杉谷、中島の二遊間を鎌ケ谷で見るとは……。あれは五十嵐信一2軍監督の時代だから2010年くらいか。杉谷と中島は売り出しのコンビだった。キャラは違うんだけど、あぁ、こいつらは間違いなく1軍で活躍するなぁという輝きを放っていた。といってもまだまだ下手っぴだった。ゲッツーが取れなくてしごかれていた。干支がひと回りして、また杉谷、中島の二遊間を鎌ケ谷で見るのか。
上では石井一成、渡邉諒、佐藤龍世はもちろんだけど、細川凌平や水野達稀を使ったり、あるいは外野手を使ってみたりしている。中島、杉谷は力がわかってるから今は若手や新戦力が使いたいだろう。だけどなぁ、ひいきの中島が生で見られて嬉しい反面、上に置いてくれないのは寂しい気もした。スター選手だよ。何といっても「ハルタク」人気(西川遥輝、中島卓也の2人は女子に圧倒的に支持された)でやって来たんだ。
それから高濱祐仁も鎌ケ谷にいるんだなぁと思う。昨シーズンは中田翔の不振&謹慎、移籍でチャンスを掴んだ。スタメン4番を務めたこともある。そのまますんなりレギュラー奪取といかないところが、プロの厳しさだろうか。同じことは松本剛にも言える。彼は2017年シーズン、スタメンで大活躍し、ついにブレークを果たしたかと思われた。が、翌年は出番が半減、レギュラー奪取とはいかなかったのだ。高濱も松本も自信はあると思う。監督が使ってくれたら1軍でバリバリやってみせる……。
いや、考えたら早大戦のスタメンの大半が2軍でくすぶるつもりなんか毛頭ないメンバーだ。このメンバーを何と呼ぶべきかと思っていたら、鎌スタの場内アナウンスがイースタンリーグ開幕戦の告知をして「ぜひ今シーズンのBOSS組の戦いにご期待ください」と結んでいた。あ、キャンプ終わっても「BOSS組」の呼称は続けるのか。元々は1軍2軍という呼び方がよくないということで、新庄監督が「BIG組」「BOSS組」を提案したのだった。
しかしまぁ、たぶん1軍の「BIG組」は早晩廃れるんじゃないか。いつまでも「BIG組」と呼んでても何かちぐはぐだ。「なかなか打ち破れないBIG組の壁」「〇〇選手のBIG組抹消が決まった」なんていちいち変換して言うのも面倒じゃないか。
だけど「BOSS組」の呼称は鎌ケ谷のアナウンス等でしばらく生き残ると思う。何でかって言うと、選手も自分が「2軍の選手」だなんて思ってないし、チームスタッフも同じだからだ。スタッフはもちろん個々の選手に飛躍してもらいたい。と同時に、ファームの試合興行にプレミアム感を持たせたい。
チームに欠かせないベテランの力
唐突に「BOSS組の逆襲」というワードが浮かんだ。今年のファイターズはまだどんな形になるかわからない。まさかとは思うが、案外開幕戦の4番スタメンも五十幡亮汰なのかもしれない(腰痛お大事に。間に合ってください~)。新庄監督の独自の選手起用がプラスに作用して、一気にスターにのし上がる若手も出現するんじゃないか。また、それでこそ世代交代期に新庄剛志が監督を務める意味がある。
ただ「BOSS組の逆襲」だ。このチームの層の厚みを担保するのは「BOSS組」の実力しかない。特にベテランの役割は大きいだろう。2軍の環境のなかでどう振る舞うか。1軍にコールアップされ、しかし控えに回されたときどう振る舞うか。どういう仕事を自分に課すか。ここぞという場面でどう輝くか。
グラウンドでは杉谷が腿裏を押さえてベンチに下がった。肉離れに繋がりかねない微妙な違和感だろう。鎌ケ谷は春の陽気だが、沖縄とは気候が違う。ベテランはケガの兆候を早めに察知して、丁寧に身体のケアをしてほしい。
※この日、第1打席で杉谷はホームランを放ったのだ。どうか腿裏が軽症でありますように。
みんな間違いなく待っている。杉谷のハッスルプレーが見たくないファイターズファンなんて、この世に1人もいない。僕は中島卓也ファンなので、彼にもっともっと仕事をしてほしい。チームに繋がりがつくれるいぶし銀の選手なのだ。
僕はこの早大戦のことをずっと覚えていよう。メディアで注目される札幌ドームの喧騒から離れて、鎌ケ谷で闘志をたぎらせていた男たちのことを覚えていよう。このなかから一体、何人が這い上がり、物語をつくるだろうか。