【2022西武・戦力分析】パのダークホース。投手と外野手を穴埋めできれば優勝争いも可能
2022/03/07
DELTA・竹下弘道
2.各ポジションの「得失点差への寄与」は?
西武はどのように得失点差を改善すればよいだろうか。これを考えるため、各ポジションの状況を掘り下げて見ていこう。各ポジションが得失点差に対して何点分の寄与をもたらしたかという観点で、チームの強みと弱みがどこにあったのかを確認する。
まずは野手からだ。野手は打撃で得点を増やすか、守備で失点を減らすことで得失点差を改善できる。打撃はwRAA、守備はUZRという指標を用いて、各ポジションが得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを計算した(図2)[1]。数値はレギュラーの個人成績ではなく、レギュラー以外も含めたチーム全体の成績という点に注意いただきたい。
西武の弱点は外野手だ。左翼は栗山巧、中堅は岸潤一郎、右翼は愛斗が主に起用されたがいずれも固定には至らず、3ポジション全てが弱点となった。いずれのポジションも打力不足が深刻だが、中堅手は守備でも無視できないマイナスを出している。
一方、捕手と遊撃手がチームの強みとなった。捕手としては規格外の打撃成績の森友哉、歴代屈指の名手である源田壮亮が大きなプラスを稼いでいる。また、二塁手はレギュラーの外崎修汰が長期離脱となったが、山田遥楓が見事なカバーを見せてプラスを維持した。
次に投手を見てみよう。ここでは先発と救援に分けて得失点差への寄与を確認する。投手は投球で失点を減らすことでこれに関与できる[2]。FIPという指標を使い、「先発と救援がそれぞれ得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を計算した(図3)。
投手陣全体では莫大なマイナスを計上している。特に先発はチームにおける最大の弱点と言ってよいだろう。頭数不足で誰が投げてもマイナスが出る状況であり、先発投球回だけで規定に到達した髙橋光成、今井達也も得失点差の改善には貢献できていない。
また、救援も先発ほど深刻ではないがチームの弱点となっている。平良海馬が救援としてはリーグ最大のプラスを稼いだが、選手層が薄いために孤軍奮闘となってしまった。先発・救援を通した投手陣の手薄さは西武の大きな課題と言える。