【2022西武・戦力分析】パのダークホース。投手と外野手を穴埋めできれば優勝争いも可能
2022/03/07
DELTA・竹下弘道
4.今季の選手供給の見込みは?
ここまでに論じた補強ポイントを踏まえて、西武が新しい選手をどれだけ用意できるかを見ていきたい。一軍に選手を供給する手段は、①二軍から選手を引き上げる、②ドラフトで獲得する、③国内外の他チームから獲得する、の3つだけだ。それぞれの手段について、どのような選手供給が見込まれるかを見ていこう。
まずは二軍だ。二軍において得失点差への寄与が優れる選手は、一軍でも得失点差を改善する見込みが強いと言える。ここでは2021年の二軍において、各選手が得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを調べた[4]。統計的に野球選手は若いほど成長の余地があるため、年齢も併記した(図5)。若くて優秀な左上の選手は将来的な一軍定着を期待しやすい。
外野手で特筆すべき若手が23歳の鈴木将平だ。特に守備力はずば抜けており、守備指標UZRでは一軍も含めてトップクラスの守備範囲を誇る。打撃面はパワー不足が気になるが、選球眼とコンタクトを強みとしているため出塁率は二軍トップレベルだ。二軍成績の優秀さという観点だけで言えば、レギュラー定着がこれほど期待される選手は他にいない。
もう一人、外野手で好成績を残しているのが22歳の高木渉だ。鈴木と対照的なパワー型のフライヒッターで、長打力が持ち味である。一方でコンタクトは二軍平均を下回っており、一軍に定着するにはミート力をある程度改善しなければならない。
投手は浜屋将太、與座海人、本田圭佑が好成績を残している。3人ともすでに一軍で登板を重ねており、二軍での登板は調整の意味合いが強かった。彼ら以外には好成績の若手がいないため、投手は二軍からの選手供給が期待しづらいと思われる。
次はドラフトを見ていこう(図6)。育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手のみを見ていきたい。
ドラフトでは上位枠で投手を確保する動きが見られた。1位は4球団競合の末、大学No.1投手の隅田知一郎を獲得。2位も大卒投手の佐藤隼輔を指名している。どちらも先発で起用される見込みで、ローテーションは一定の底上げが期待できそうだ。
一方、外野手の獲得はなかった。西武は22歳から25歳の外野手を7人も抱えており、編成のバランスから即戦力外野手の指名は難しかったようだ。
最後に補強を確認する(図7)。こちらも育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手だけを見ていく。
補強では外国人選手の総入れ替えが行われた。各選手の年俸を見る限り、投手のバーチ・スミス、ディートリック・エンス、外野手のブライアン・オグレディが即戦力として期待される本命と見られる。投手と外野手を底上げするために、打てる手は打ったかたちと言える。
ジャンセン・ウィティは補強ポイントからは外れているが、高齢化の進む三塁手のバックアップ要員として獲得したものと思われる。ユーティリティプレイヤーで外野も一応守れるため、好調であれば外野でも起用する算段ではないだろうか。