カギは速い変化球!? 佐々木朗希のピッチングから見たトレンド【アンチデータベースボール】
2022/03/12
テクノロジーが発達し、日々データ化が進む現代野球。一方で、人間がプレーしているからこそ、データだけではわからないプレーがあることも確かだ。データを超えた感動やドラマ、プレーのクオリティは、野球の醍醐味として外せないものである。
ここでは、SNSで大人気の野球著述家ゴジキ氏(@godziki_55)が綴る、忘れかけている何かを思い出させてくれる一作『アンチデータベースボール データ至上主義を超えた未来の野球論』(2月22日発売)から本編の一部を公開する。
データではわからない面白さや魅力はどこから来ているのか? データ至上主義のなかで対応策はあるのか? 感動やドラマ性とデータはトレードオフなのか?…などなど、尽きない疑問への「考えるヒント」が見つかるはずだ。
力と力の勝負から変わりつつある
従来であれば、「力と力の勝負」と称してストレートに偏った傾向があったが、データによる可視化や、選手の能力の向上によって、トレンドは変わってきている。
昔ならではのカーブに関しても、ストレート狙いの打者からすると、タイミングが合わせやすくなり、一発打たれる場面は見られる。
そのため、現在は変化球の高速化や、変化量が少ない球種がトレンドになりつつある。
これは、プロ野球だけではなく、アマチュアの高校野球や大学野球、社会人野球でもそうである。
高校野球の場合は、2016年に今井達也がスラッターを擁して作新学院を優勝に導くまでは、速い球とスライダーを外角に投げれば勝てたが、それ以降は打者もレベルがあがり、スラッターのような速い変化球や落ちる球もなければ優勝は困難になった。
2019年夏の甲子園大会決勝戦では、星稜のエース・奥川恭伸が、履正社の4番・井上広大(阪神)に本塁打を打たれた球が、緩いスライダーだったが、このような場面を見ると明確だ。
速い変化球に関して具体的な球種で言うと、お股ニキさんが発信されていた、スラッターはもちろんのこと、スプリットやカットボール、ツーシーム、ハードシンカー、パ
ワーカーブといったあたりは、主流になってきている。