【2022ソフトバンク・戦力分析】二塁手と中堅手のレギュラー不在が課題も、一定の対策は打てた
2022/03/17
DELTA・竹下弘道
2.各ポジションの「得失点差への寄与」は?
ソフトバンクはどのように得失点差を改善すればよいだろうか。これを考えるため、各ポジションの状況を掘り下げて見ていこう。各ポジションが得失点差に対して何点分の寄与をもたらしたかという観点で、チームの強みと弱みがどこにあったのかを確認する。
まずは野手からだ。野手は打撃で得点を増やすか、守備で失点を減らすことで得失点差を改善できる。打撃はwRAA、守備はUZRという指標を用いて、各ポジションが得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを計算した(図2)[1]。数値はレギュラーの個人成績ではなく、レギュラー以外も含めたチーム全体の成績という点に注意いただきたい。
中村晃の一塁手、アルフレド・デスパイネの指名打者に加えて、シーズン中にレギュラー交代が起きた右翼手が強みポジションとなった。昨季は外野手が配置転換され、栗原陵矢は右翼から左翼、柳田悠岐は中堅から右翼に移った。2人がバトンタッチした右翼手は強みとなったものの、左翼手と中堅手は他の外野手が振るわず寄与がマイナスとなっている。
一方、唯一の弱点となったのが二塁手だ。前年レギュラーの周東佑京の調子が上向かず、若手の三森大貴でカバーしようとしたものの上手くいかなかった。二塁手は本多雄一以降絶対的なレギュラーを固定できておらず、チームにとって鬼門のポジションである。
次に投手を見てみよう。ここでは先発と救援に分けて得失点差への寄与を確認する。投手は投球で失点を減らすことでこれに関与できる[2]。FIPという指標を使い、「先発と救援がそれぞれ得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を計算した(図3)。
先発と救援は、どちらも強みとまではいかないもののプラスを計上した。昨季はエースの千賀滉大とクローザーの森唯斗が故障離脱、リバン・モイネロも東京五輪の予選で抜けている。飛車角落ちともいえる厳しい状況だったことを踏まえると、上手くマイナスに転落せずにしのげたという評価が適切かもしれない。この辺りはソフトバンクの選手層の厚さがうかがえる。