【2022ロッテ・戦力分析】低迷する先発陣の再建が最重要課題。佐々木朗希の活躍に期待
2022/03/20
DELTA・竹下弘道
5.総括
ロッテの補強ポイントは先発・捕手・三塁手。他ポジションが変わらないという前提だと、この3ポジションの合計が±0点になるくらいまで穴埋めできないと優勝は難しそうだ。
これらに対する動きを見ると、三塁手には平沢と池田を用意していることに加えて、捕手では大型ルーキーの松川がどれだけやれるかという状況。一方、先発は今季中に選手を供給できる見込みがなく、現有戦力のやりくりだけでマイナスを解消しなければならない。
先述の通り、先発は最大のマイナスを出しているが選手層は薄くないため、ローテーションの選定次第で上積みが見込める可能性がある。さらにトミー・ジョン手術を受けた西野勇士と種市篤暉も復帰する上、いよいよ佐々木朗が開幕から本格稼働する。
最大の弱点だった先発を強みに転換させられれば、大きな上積みが期待できる。ロッテが優勝を狙うにはここが最大のポイントになるだろう。今季のロッテは「ピッチングコーディネーター」の役職が新設され、投手陣の運用体制が大きく変わる。このポストにおいて、名伯楽として名高い吉井理人元コーチがどのような辣腕を振るうかに注目したい。
DELTAアナリスト・竹下弘道
[1] 寄与は「平均的な選手でそのポジションを埋める場合と比べて、得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を表す。平均を基準とする理由は、得失点差が平均を基準とする数値だからだ。「全ポジションが平均的な選手で構成されたチーム」は得失点差が±0点となる。このチームに対して「各ポジションで得失点差を何点分上積みしたか」が分かれば、その合計からチームの得失点差を説明することができる。
[2] 厳密に言えば投手も打撃で得点を増やすことができるが、投球と比べて影響が小さいため、ここでは考慮しないものとした。
[3] これは、弱点を底上げする方が獲得機会・必要年俸の点でコストパフォーマンスが高いためである。「±0点のポジション」に「+20点の選手」を充てるのと、「-20点のポジション」に「±0点の選手」を充てるのは、どちらも20点の得失点差の改善が見込める。しかし、「+20点の選手」よりも「±0点の選手」の方が獲得しやすく、年俸も安く抑えられる。
[4] 野手はwRAA+UZR+守備位置補正、投手はFIPのみで計算した。野手は一軍の規定打席(443打席)あたり、投手は一軍の規定投球回(143投球回)あたりの数値としている。
[5] 直近半世紀の日本プロ野球において、ルーキーイヤーにチーム試合数の1/3以上に先発出場した高校生捕手は、谷繁元信(元大洋)ただ一人だけである。高卒新人捕手がいきなり戦力になるのはかなり難しいと言えるが、開幕スタメンマスクに抜擢された松川はこれを覆せるだろうか。
[6] データは竹下弘道・DELTA算出
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古典的ボックススコアから選手とチームの通史的な分析に取り組む。
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2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~5』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。