中盤4回がポイント。計8得点、2巡目でヤクルト先発陣をつかまえたソフトバンク打線【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は日本シリーズを振り返る。
2015/10/30
中盤の追加点で試合を有利に展開
66回目の日本シリーズは、ソフトバンクホークスが4勝1敗でヤクルトスワローズを下して閉幕した。
点差は最大で5点、2点差の試合も2試合あったが、あまり接戦という印象を持たなかった方も多いのではないか。何かソフトバンクが余裕をもって勝利を収めた感がある。
両軍の戦いについて、数字で振り返りたい。
5試合のスコアを合計するとこういう動きになる。
ソフトバンクのほうが当然ながら得点数は多い。かつ序盤に先取点を奪って試合を有利に進めたことがわかる。
注目は4回の8点だ。中盤に差し掛かった時点で加点し、ヤクルトを突き放している。4回の得点を除けばヤクルト13点、ソフトバンク15点とほぼ互角だったのだ。
2巡目の打率に大きな差
つまりソフトバンク打線はヤクルトの先発投手を2巡目で確実にとらえていた。打席の巡目ごとに、打撃成績を見ていくと、それがはっきりとわかる。
2巡目で39打数18安打4本塁打の.462と大爆発している。ここでソフトバンクが決定的な得点を挙げて、試合の主導権を完全に握ることに成功した。
1巡目で相手の先発投手の出来や配球などをチェックし、2巡目で狙い球を絞って振りぬいていく。スコアラーなども交えたベンチワークでもソフトバンクはヤクルトに大差をつけていたのではないだろうか。