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【2022ヤクルト・戦力分析】本拠地を考慮すると投手力は既にNo.1。さらに投手を強化し連覇を狙う

2022/03/23

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DELTA・竹下弘道



2.各ポジションの「得失点差への寄与」は?

 ヤクルトはどのように得失点差を改善すればよいだろうか。これを考えるため、各ポジションの状況を掘り下げて見ていこう。各ポジションが得失点差に対して何点分の寄与をもたらしたかという観点で、チームの強みと弱みがどこにあったのかを確認する。
 
 まずは野手からだ。野手は打撃で得点を増やすか、守備で失点を減らすことで得失点差を改善できる。打撃はwRAA、守備はUZRという指標を用いて、各ポジションが得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを計算した(図2)[2]。数値はレギュラーの個人成績ではなく、レギュラー以外も含めたチーム全体の成績という点に注意いただきたい。
 

 
 ヤクルトの唯一の弱点が右翼手。2020年には捕手・三塁手・遊撃手・中堅手・右翼手と弱点を多く抱えていたが、右翼手以外の4つは弱点から脱却した格好だ。捕手は中村悠平の復調が大きいが、他3つはチームの編成と運用の手腕が光ったのではないだろうか。
 
 昨季の動きを振り返ると、外国人で最も埋めやすいポジションの一塁手にホセ・オスナを獲得して、村上宗隆は三塁手にコンバート。遊撃手は元山飛優を獲得、中堅手は塩見泰隆を抜擢して埋め合わせている。村上の三塁適性の見極めに加えて、オープン戦で大不振だった塩見をスタメンから外さなかった高津臣吾監督の判断は見事だった。
 
 唯一の弱点となった右翼手も新外国人のドミンゴ・サンタナの働きは悪くなかった。ただ、サンタナの来日が遅れる間に他選手がマイナスを大きく計上している。外野手層の薄さはヤクルトの課題と言える。
 
 一方、強みとなったのが二塁手と三塁手。二塁手の山田哲人は前年の大不振からあっさり復調して見せている。ただ、全盛期の山田は+100点近い寄与を稼いでいたため、これでもまだ完全復調にはほど遠いのが恐ろしいところ。三塁手は村上がすばやく適応したことで、二塁手に匹敵するチームのストロングポイントに成長している。

 次に投手を見てみよう。ここでは先発と救援に分けて得失点差への寄与を確認する。投手は投球で失点を減らすことでこれに関与できる[3]。FIPという指標を使い、「先発と救援がそれぞれ得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を計算した(図3)。
 

 
 ヤクルトの本拠地である明治神宮球場は本塁打が出やすく、打撃成績は押し上げられ、投球成績は押し下げられる傾向がある。本記事ではこれを補正して打撃投球の寄与を算出しているが、それを踏まえるとヤクルト投手陣の働きはセ・リーグでNo.1だったと言える。
 
 これは奥川恭伸、田口麗斗、今野龍太が主力に加わったことが大きいが、従来メンバーの成績が改善したことによる寄与も大きい。ヤクルトは他球団に先行して動作解析システムのホークアイ[4]を昨季から導入している。これがフォームの修正などに活用されたようで、従来メンバーの底上げに寄与した可能性が考えられる。

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