中日・落合GMが考えるドラフト戦略――「高卒の小笠原も即戦力という位置づけ」
長年チームを支えた主力のベテラン選手が一気に引退し、来季は世代交代が進む中日ドラゴンズ。今年のドラフトでは、夏の甲子園優勝投手の小笠原慎之介選手や、適材適所で社会人選手の指名に成功した。
2015/11/01
補強の意味とは?
今だから書けるが、昨年1位指名した野村亮介は、先発して8回途中3失点だった1回目の視察では「どこにでもいる投手」という評価だった。
しかし、3日後にリリーフ登板した際の球威に着目し、その後は連投でも球威が落ちない点を高く買った。
また、社会人であれば「都市対抗予選は、会社の人たちもたくさん応援に来るから平常心ではプレーできない。それよりも、観客も少ない関東選抜リーグでどんなプレーをするか。真の姿を出す試合ほうが参考になる」と大半の試合に足を運んだ。
そうして指名した6名は、1位の左腕・小笠原慎之介(東海大相模高)と2位のスリークォーター右腕・佐藤 優(東北福祉大)が、誰が見てもいい選手、どの球団でもほしい選手であり、佐藤の場合はリリーフに適性があると見ている。そして、3位の木下拓哉捕手(トヨタ自動車)、4位の左腕・福 敬登投手(JR九州)、5位の阿部寿樹遊撃手(Honda)、6位の石岡諒太一塁手(JR東日本)が補強ポイントに合致した選手ということになる。
「即戦力という言葉があるけれど、高卒の小笠原が1年目から活躍してくれればありがたいし、その意味では全員が即戦力という位置づけ。反対に、阿部が社会人で4年間プレーしたと言っても、簡単にショートのレギュラーになれるほど甘くはない。ルーキーが割り込んで全体の競争を活性化させ、そこから誰かがポジションをつかめばいい。補強とは、そういうものだと思う」
こうした落合GMのチーム作りが、どういう形で実を結ぶか。いずれにしても、チーム強化の土台になるのは、選手同士の激しい競争なのである。
今年のドラフトの成果や答えが出るのは、まだ少し先のことだ。