大隣がソフトバンクを救えるか? 元WBC日本代表コーチが占う日本シリーズ
10月25日から福岡ソフトバンクホークスと阪神タイガースの日本シリーズが始まる。クライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージで日本ハムとの激闘を制したソフトバンクと、巨人に4連勝を果たした阪神。日本シリーズでは2003年以来の対決となり、その時は4勝3敗でソフトバンクが日本一に輝いた。野球評論家の与田剛氏に日本シリーズの行方を占ってもらった。
2014/10/24
広い甲子園、ヤフオクドーム 一発よりもどれだけ打線がつながるかが勝負
こうしてみると、ソフトバンク投手陣のほうに不安材料が多い気もしますが、阪神にも不安がないわけではありません。
なかでも「経験」という部分での不安が残ります。というのも、阪神はクライマックスシリーズを無敗で勝ち上がりました。そのため、基本的に勝ちパターンの継投しかしていません。
結局、クライマックスシリーズでは6試合で8人の投手しか使いませんでした。
それに比べてソフトバンクは6試合で13人。多く使ったからいいというのではないのですが、少なくとも投手がどんな状態かということは把握できたと思うんです。
その点、阪神はクライマックスシリーズ以降、投げていない投手がたくさんいます。
特に、日本シリーズのような大舞台でいきなり投げるのは精神的にも厳しいものがあります。試合展開にもよると思うのですが、できるだけ早めにマウンドに上げさせることも必要になってくるでしょうね。
打線に目を向けると、ともに状態は悪くないと思います。
広島とのファーストステージでわずか1点しか取れなかった阪神ですが、ファイナルステージでは4試合で21得点と自慢の打線が復活しました。なかでも西岡剛、上本博紀、鳥谷敬の上位が好調で、彼らが塁に出て、ゴメス、マートンの中軸で還すという得点パターンが出来上がりました。
それに効果的な一発もありました。
ただ、日本シリーズの舞台は甲子園とヤフードームで、東京ドームのように一発が期待できる球場ではありません。これは両チームに言えることなのですが、どれだけ打線がつながるかが大事で、ここがシリーズの勝敗を分けるような気がします。
シーズンと同じ打線を組めることが理想なのですが、日本シリーズのような短期決戦では必ず調子のいい選手と、調子の悪い選手が出てきます。その時に、どの並びでいけば効率的に得点を奪えるかというのを、ベンチは判断しなければなりません。
シーズンと違い、調子が上がるのを待っている時間はない。首脳陣の決断力が問われます。
最後に予想をしたいと思うのですが、勢いなら間違いなく阪神ですが、クライマックスシリーズのように一気に決まる展開にはならないでしょうね。
そうなると選手層の厚さでソフトバンクが有利な気がします。いずれにしても、両チームの差はほとんどありません。
昨年同様、第7戦までもつれる可能性は十分にあるでしょうね。
与田剛(よだ・つよし)プロ野球解説・評論家
NTT東京を経て、89年にドラフト1位で中日ドラゴンズへ入団。1年目からリリーフで活躍し、新人王と最優秀救援投手に輝く。その後は故障に泣かされ、00年に現役引退。引退後は、NHKのサンデースポーツのキャスターや社会人野球、女子チームのコーチなどを経験。2009年、2013年のWBCでは日本代表の投手コーチを務めた。