【2022巨人・戦力分析】課題の投手・外野手に大型補強。吉川尚輝が欠場を減らせるかもポイント
2022/03/24
産経新聞社、DELTA・竹下弘道
２．各ポジションの「得失点差への寄与」は？
巨人はどのように得失点差を改善すればよいだろうか。これを考えるため、各ポジションの状況を掘り下げて見ていこう。各ポジションが得失点差に対して何点分の寄与をもたらしたかという観点で、チームの強みと弱みがどこにあったのかを確認する。
まずは野手からだ。野手は打撃で得点を増やすか、守備で失点を減らすことで得失点差を改善できる。打撃はwRAA、守備はUZRという指標を用いて、各ポジションが得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを計算した（図2）[2]。数値はレギュラーの個人成績ではなく、レギュラー以外も含めたチーム全体の成績という点に注意いただきたい。
巨人の強みは三塁手・遊撃手・中堅手。いずれも前年から成績を下げてしまっているが、岡本和真・坂本勇人・丸佳浩の貢献は依然として大きい。また、二塁手は吉川尚輝が大きくプラスを稼いだ一方、他の選手が優れなかったためマイナスを計上している。
一方、マイナスを計上しているポジションはあるものの、明確に弱点と言えるポジションは存在しない。弱点を作らない編成は上手く機能していると言えるが、稼ぐ方のポジションが不十分だったことが優勝を逃した原因と言える。
次に投手を見てみよう。ここでは先発と救援に分けて得失点差への寄与を確認する。投手は投球で失点を減らすことでこれに関与できる[3]。FIPという指標を使い、「先発と救援がそれぞれ得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を計算した（図3）。
先発は弱みとまではいかないもののマイナスを計上している。6番手、7番手まであまり成績が落ちない選手層の厚さを誇るが、プラスを大きく稼げる選手が他チームより乏しいことが響いたかたちだ。エースの菅野智之もここ数年はやや不調気味となっている。
救援も同様に、弱点ではないがマイナスとなった。こちらは先発と逆で、中川皓太、チアゴ・ビエイラなど勝ちパターンでプラスを稼ぐ投手は存在するものの、救援陣全体の選手層が薄い。他の選手のマイナスが勝ちパターンのプラスをスポイルしてしまっている。