石川・館山から、杉浦ら次世代へ――ヤクルト連覇への課題は“先発”の再構築
14年振りの日本一を逃したヤクルト。リリーフ陣は互角以上だったが、先発の差が勝敗をわけたと指摘する野球評論家が多い。
2015/11/03
三振を取れる“本格派”。来季は石山と杉浦の成長がカギ
ヤクルトの先発ローテーションの中心として期待がかかるのは、石山泰稚(来季4年目)と杉浦稔大(来季3年目)の両右腕。2人ともスラッとした体系から、150キロ近い伸びのあるストレートに加え、スライダーや縦に落ちる変化球(フォーク、スプリット)で空振りが取れる、まさに“本格派”としての能力が備わっている逸材だ。
石山と杉浦の今季の成績を振り返ってみると、石山は21試合に登板して5勝5敗、防御率3.64。今季は主に先発として21試合に登板。規定投球回数に達することはできなかったが、自己最多の5勝を挙げた。
杉浦は開幕からローテーションに入るも、右肩の張りで4月20日に出場選手登録を抹消。シーズン終盤の9月にようやく復帰し、7試合に登板して1勝3敗、防御率2.92の成績に終わったが、マジック「1」を点灯させた9月28日の試合では、5回2/3を投げて今季初勝利。優勝へ向けての大事な試合でしっかり役割を果たした。
石山と杉浦の2年間(14、15年)の奪三振率を見てみると、今季リーグ7位の奪三振率だった小川の6.86(168イニングで128奪三振)に匹敵する数字を挙げていることがわかる。
◆石山の2年間の奪三振数と奪三振率
2014年 35試合 109イニング1/3 79奪三振 奪三振率6.50
2015年 21試合 111イニング1/3 78奪三振 奪三振率6.31
◆杉浦の2年間の奪三振数と奪三振率
2014年 4試合 23イニング 28奪三振 奪三振率10.96
2015年 7試合 37イニング 25奪三振 奪三振率6.08
石山は2年間、先発とリリーフの両方を経験した。奪三振率も6点台と安定しており、日本シリーズではリリーフに回り3試合に登板。3回2/3を投げて防御率2.45、5奪三振の成績を収め、走者を背負った場面で三振を奪える力を持っている。
ルーキーイヤーの2014年に右肘靭帯断裂で出遅れた杉浦は、9月の復帰後4試合で見せた奪三振率10.96が特に際立つ。2年間は怪我で離脱することが多かったが、シーズンを通した活躍を見せられれば、一気にチームの“エース級”になれる存在だけに、首脳陣の期待は大きい。事実、日本シリーズ第3戦の先発にも抜擢され、大舞台を経験できた。
来季、守護神・バーネットがポスティングシステムによるメジャー移籍を表明し、絶対的守護神が抜ける可能性が高い。他のリリーフ陣も今季の勤続疲労が心配される。
石山と杉浦。日本シリーズという最高峰の舞台を経験した2人が、来季どのような成長を見せるか。また今年のドラフトでは明大の高山俊は指名できなかったが、東洋大の好投手・原樹理の指名に成功し、即戦力としての期待がかかっている。
若い先発投手の台頭による、レベルの高い先発陣の競争は、来季ヤクルト連覇のポイントの一つになるはずだ。