脳を鍛えて、走塁を磨く――「機動破壊」健大高崎を支える脳活性化トレーニング・シナプソロジー
スポーツのパフォーマンスアップに脳の強化は必須――先日スポーツジム『ルネサンス』らが中心で構成されるシナプソロジー普及会によるセミナー『勝てるアスリートに必要な運動脳の鍛え方』が開催された。シナプソロジーは、今年の夏の甲子園を〝足〟でわかせた健大高崎高で導入している。盗塁時の判断力、反応力、注意力……健大高崎高の「機動破壊」を支える一つのトレーニング、今年のドラフト会議で千葉ロッテに7位指名された脇本直人選手もこのトレーニングで走塁力を磨いていった。
2014/10/30
baseballchannnel
少しずつ導入が始まったアスリートでの現場事例
今回、日本で初めてシナプソロジー普及会によるセミナー『勝てるアスリートに必要な運動脳の鍛え方』が開催されたが、トレーニングが開始されるやいなや、会場のあちこちから歓声や笑い声が沸き起こった。できそうでできない感覚を楽しむといえばいいだろうか。
それをゲーム感覚で何度も味わえるので一瞬のうちにその場の人たちと盛り上がれるのだ。
5分と経たないうちに会場中の体温がほんのりと上昇するのがわかった。
そして、スポーツの現場でこのシナプソロジーを実際に取り入れているのが、今年の夏の甲子園を湧かせた健大高崎高だ。
今夏の甲子園で「機動破壊」をテーマに走り勝つ野球を展開した高崎健康福祉大学高崎高校野球部は、このシナプソロジーを今年からトレーニングに取り入れ、「走力」において飛躍的にパフォーマンスを向上させた。群馬県大会予選での盗塁数は一試合平均5.8個。甲子園大会で一試合平均6.5個。一般的な平均が一試合平均2~3個であることを考えると驚異的だ。
同校野球部のトレーナーとしてシナプソロジーを指導している塚原謙太郎氏がいう。
「このトレーニングの効果として一番伝えたいことは、選手たちに観察して判断する力がつくということです。チームには盗塁のサインがほぼなく、選手たちはフリースタートで盗塁を成功させています。明らかに迷いがなくなり、瞬間的な判断が向上したのです」
シナプソロジーを導入したあと、見逃し三振の数も圧倒的に減ったという。
健大高崎の中心選手で、今年のドラフト会議で千葉ロッテに7位指名された脇本直人選手もこのトレーニングで走塁力を磨いていった。
セミナーではその様子を動画で紹介された。
最初のページで取り上げたトレーニングを実践してみてほしい。きっと頭がこんがらがってしまった人も少なくないのではないだろうか。それでいいのだ。このトレーニングは、できなくていいのだ。シナプソロジーは〝できそうでできないこと〟を繰り返すことがポイントになる。
人間には慣れがあるので複雑なものにもやがて対応する。だからトレーニングをどんどん複雑化することで常に〝できない状態〟をキープし、脳をなるべく混乱状態に置くのだ。
前出の塚原氏が続ける。
「普段の練習からシナプソロジーによって脳に混乱状態をつくっておくんです。混乱状態が続くと、やがて人は何も考えられなくなって思考が停止し、まったく動けなくなります。この混乱状態を練習から経験しておくことで、いざ試合というときにイレギュラーな状況が起こっても混乱せず冷静に対応できるようになります。今年の高崎健大の選手たちは甲子園の舞台でもとても落ち着いていたのが印象的でした」
肌感覚として、これはウォーミングアップにいいと感じたが、実際にシナプソロジーはウォーミングアップに最適だという。これを一過性効果という。そして、長期的にトレーニングを続けたときの継続性効果が先に紹介した健大高崎野球部の事例となる。
ゲーム感覚であるがゆえに、老若男女が、どこでも、何人でも、集まった人たちのレベルに応じてトレーニングすることができるのがシナプソロジーの強み。現在日本では、スポーツ界のみならず、子どもの知育・発育や中高齢者の健康増進やリハビリへの展開も拡大が見込まれているという。
既存のトレーニングと組み合わせることで、すべての運動のパフォーマンスを向上させる可能性もあるシナプソロジー。今後の日本のスポーツ界への波及が注目される。
【シナプソロジーに少しでも興味のある方は、下記サイトをご覧ください。シナプソロジーに関する書籍も発売されています】
シナプソロジー普及会WEBサイトより http://www.s-re.jp/renaissance/synapsology/
シナプソロジー書籍 『脳を鍛えるには、楽しく「混乱」させなさい 子どもから大人まで10分でできる!脳活性化プログラム・シナプソロジー』 シナプソロジー普及会著、カンゼン刊