ゲームバランスが崩れる? “一人で”チームを日本一に導いた伝説の5人。プロ野球史で永遠に語り継がれるシーズン
2022/04/17
産経新聞社
王貞治(1973年の読売ジャイアンツ)
1973年の王貞治も“一人で”日本一へ導いた選手だ。
1973年は巨人V9の最終年だ。これほどの常勝チームの日本一は、テーマにそぐわないと思う読者もいるかもしれない。しかし、同年のリーグ優勝は“ギリギリ”であった。
巨人は66勝60敗4分で優勝したものの、2位・阪神タイガース(64勝59敗7分)とのゲーム差は0.5。最下位・広島東洋カープ(60勝67敗3分)との差も僅か6.5で、どのチームにも優勝のチャンスがある年だった。
そんな中、王は打率.355、51本塁打、114打点で自身初の三冠王に輝く活躍。出塁率.504、長打率.755、OPS1.259ももちろんリーグトップの数字で、自身6度目のシーズンMVPも手にした。
DELTA・道作氏による弊サイトコラム『王貞治の全盛期が到来 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~1973年編~』によれば、王はこの年打撃だけで平均的な打者に比べて10勝分以上の価値を生み出したようだ。つまり、王でなければ最下位に沈んでいる計算となる。つまり最下位になってもおかしくないチーム状況の中、言葉通り“一人で”リーグ優勝へと導いたのである。
さらに日本シリーズでも打率.286、2本塁打、5打点、6四球の活躍で日本一に貢献。王なくしてこの年の優勝、そして巨人のV9はなかったのだ。