工藤公康氏がソフトバンク投手陣に渡していた『投手マニュアル』。重要なのは「R・B・T」の三原則【インタビュー】
2022/04/29
踏み出し足の着地は常に同じ場所に
名古屋電気高時代にノーヒットノーランを達成した工藤氏。【産経新聞社提供】
――工藤さんは高校3年生の夏に甲子園でノーヒットノーランを記録されていますが、高校のときからコントロールには自信があったのでしょうか。
工藤 いえ、全然ないですよ。2年生の秋の東海大会では、四死球や暴投を連発して、自分のせいでセンバツ甲子園を逃しました。「このままではいけない」と思ったところから、コントロールを本気で考えるようになりました。
――どんな練習をしたのですか。
工藤 つながりがあったソフトボールの指導者に相談したところ、「離れた距離で投げられないなら、近づいて投げろよ。10球連続投げられたら、そこから下がればいいだろう」と言われました。正直すぐにできると思ったのですが、全然クリアできない。10メートルの距離で、10球連続で思ったところに投げることができないんです。ただストライクを放るだけでなく、アウトロー、インロー、アウトハイ、インローに10球ずつ。途中で挫けそうになりながら、クリアするのに2カ月近くかかりました。それが終わったら、ステップ幅の分だけ後ろに下がって、また10球連続で狙う。それを続けていきました。
――力感はどのぐらいですか。
工藤 10割では投げません。というより、多いときは500球近く投げるので、全力で投げるのは無理です。3年生に上がる春には18・44メートルの距離で、楽にストライクが取れるようになったのを覚えています。そこまでやってきた自信もあったので、キャッチャーミットの見え方が全然違いましたね。当初は小さく見えたのが、大きく見えるようになっていました。