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工藤公康氏がソフトバンク投手陣に渡していた『投手マニュアル』。重要なのは「R・B・T」の三原則【インタビュー】

2022/04/29

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「お前はマウンドの使い方が汚ねぇな」と言われた

――技術的には何が変わったのでしょうか。
 
工藤 これは、プロに行ってから教わったことですが、ブルペンで投げ終わったときに、先輩やコーチから「お前はマウンドの使い方が汚ねぇな」と言われたことがあります。マウンドは、プレートに乗せる軸足、踏み込んだ前足、投げ終わったあとに着く軸足と、3カ所に穴が掘れます。コントロールが良いピッチャーは、この3カ所にきれいに穴ができているのに対して、フォームがバラバラなピッチャーは踏み出す前足の位置が1球1球ずれるなど、マウンドが汚くなっているのです。
 
――非常に興味深い見方ですね。
 
工藤 少年野球教室でよく話をしますが、コントロールを良くしたいと思うのなら、踏み出す前足を常に同じところに接地することです。そして、ヒザとつま先を投げたい方向にしっかりと向ける。これができている投手は、そう簡単にはコントロールは乱れません。プロで投げているときに、ある投手から「工藤さんは、何で100球投げても同じ場所に踏み出せるんですか」と聞かれたことがありますが、そこにこだわってフォームを作っていたので、当たり前のような感覚だったと思います 。

――投げることはどうしても上半身に目がいきがちですけど、下半身が大事になると。
 
工藤 最終的にボールを投げるのは手ですが、そこに至るまでの土台は下半身が作っています。土台がぶれれば、上がぶれるのは当たり前。コントロールがいい投手は、フォームの再現性が高いのは間違いありません。100球投げても、同じフォームで投げられている。コントロールがバラバラの投手は、フォームの再現性が低い。これは、キャッチボールから意識できるところです。ステップする前足の跡が同じ場所にあるかどうか。子どもたちでも、ある程度投げられるようになってきたら、足元を確認してみることをおすすめします。
 
――指導者や保護者だけでなく、現役選手にも活きるお話をありがとうございました。(全文は書籍で)
 
 

工藤公康(くどう・きみやす)
1963 年5 月5 日生まれ。愛知県出身、名古屋電気高(現愛工大名電高)卒業。1981 年ドラフト6位で西武ライオンズに入団。在籍中11 回のリーグ優勝、8 回の日本一に貢献し、西武黄金期を支えた。94 年オフに福岡ダイエーホークスへ移籍すると、99年に球団初の日本一へ導く。翌年から活躍の場を読売ジャイアンツへ移し2000 年、2002 年に日本一。07 年~ 09 年は横浜ベイスターズ、10 年は埼玉西武ライオンズでプレー。現役時代の通算成績は635 試合登板、224 勝142 敗3 セーブ。引退後は野球解説者・評論家の傍ら、筑波大学大学院人間総合科学研究科に入学する(監督在任中に修士課程を修了、修士<体育学>を取得)。2014 年オフ、秋山幸二氏の勇退を受け福岡ソフトバンクホークス監督に就任。1 年目の2015 年にリーグ優勝・日本シリーズ優勝、7年間で5度の日本一に輝く。2021 年をもって同監督を退任。今後は野球振興・普及活動、解説業を行いながら大学院の博士課
程にて学びを進める。
 
大利実

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