平成を代表する三塁手・松田宣浩がMLBで生きる道【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は今オフにFA権を行使し、メジャー挑戦を表明しているソフトバンクの松田宣浩についてだ。
2015/11/15
FA権を行使して他球団への移籍を目指す5人
11月10日をもって今年のFA申請が締め切られた。翌日からは、各球団との交渉が解禁された。
今季、最終的にFA権を行使する選手は6人となった。
松田、今江、木村は海外のチームとも交渉できる海外FA権があるが、MLB球団と交渉する旨を表明したのは松田だけ。松田は球団の理解もあって、MLB球団との交渉が不調に終われば、FA宣言をした上でソフトバンクに残留すると伝えられている。
田中浩康は、FA宣言した上で残留すると表明した。
実質的には田中を除く5人がFA権を行使して他球団への移籍を志向する。
このうち木村、脇谷は規定打席に達していない選手であり、内野のユーティリティープレーヤーとして移籍するものと思われる。脇谷にはすでに巨人が獲得の方針を示している。
唯一の投手・高橋聡は左のセットアッパーとして、今江は正三塁手として他球団への移籍を目指す。今江に関しては、今季三塁手が固定できなかった楽天が早速交渉を行う模様だ。
これらの選手は移籍先でも従来と同じような役割を果たすことを求められている。30代半ばの働き盛りだから、怪我や故障さえなければ、その数字は十分に期待できる。
こうした中、松田宣浩だけはMLB挑戦という難しい道を選択した。
松田のMLB移籍の可能性について考えてみたい。
松田は、当代ではトップクラスの三塁手だと言ってよい。今季の12球団の主な三塁手の成績を比較してみた。RCは安打、長打、盗塁、四死球、犠打、犠飛などの総合成績だ。
松田は打撃成績をみても12球団トップクラスの選手であることがよくわかる。
14日のプレミア12のアメリカ戦では、7回表に初球の変化球を一閃。レフトへグランドスラムを放ったように、仕留める技術もある。
RCでは中村剛也に次ぐ2位も、守備成績を加味すれば三塁手としては松田のほうが上だ。
ちなみに、松田は三塁手の守備率(.976)で、守備範囲を示すRF(2.32)も12球団の三塁手の中で2位につけている。
しかも143試合フル出場。まさに、働き盛り。キャリアのピークに差し掛かっていることがわかる。