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本当に「守備のベストナイン」? データから振りかえる、2015年ゴールデングラブ賞【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は2015年のゴールデングラブ賞についてだ。

2015/11/18

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総合的な評価での選出に

 10日、2015年のゴールデングラブ賞が発表された。今シーズンの「守備のベストナイン」だ。
 しかし、その選考はシンプルではない。毎年のように議論が分かれる結果になっている。

 シーズン終盤にこのコラムで、守備の数値を参考に独自のゴールデングラブ賞を予想したが、そのおさらいも含めて各ポジションの受賞者を振り返りたい。
 ゴールデングラブ賞の選考は、新聞社、通信社、テレビ局、ラジオ局のプロ野球担当記者として5年以上にわたり現場での取材を主に担当している記者による投票で行われる。
 選考対象者に関しても、既定の試合数以上出場しており、選考基準を満たす「有資格選手」から選定される。

 記者は、守備に関するデータだけではなく、チームへの貢献度や見た目の印象、打撃や投球成績も含め総合的に判断して投票している。また、例年、受賞回数が多い選手が選ばれやすい傾向が出ている。

 そのため当コラムでも守備成績のみならず打撃、投球の簡単な成績、過去の選出回数も紹介したい。なお選出回数の()は、他のポジションでの選出を意味する。
 RFは1試合あたりのアウトにした数。守備範囲の広さを表す。RCは打撃の総合指標。100を超えるとトップクラス。データは独自で集計した他、Baseball Referenceなどを参照して作成した。

◆一塁手

広尾様1118表1

 パは中田翔、セはロペスと予想した。実際はパは中田翔、セは畠山が選出された。
 一塁手はなんといっても、試合数が重要だ。多くのアウトを処理することが求められる。中田翔は最も多く一塁を守り、RFも1位だった。
 守備成績はロペスが上、RCもロペスが上だが、畠山が打点王を獲得したことが評価につながっているのでないか。巨人・阿部慎之助の受賞回数はすべて捕手。

◆二塁手

広尾様1118表2

 パは浅村、セは山田哲人と予想した。実際はパはクルーズ、セは菊池が選出された。
 守備データでは浅村とクルーズはほぼ互角。打撃を考えれば浅村のほうが上だが、クルーズの鮮やかなグラブさばきが記者の印象に残ったのではないか。
 セは菊池。山田とは守備成績はほとんど互角で、打撃ではいうまでもなく山田が数字を残したが投票結果は、断トツで菊池だった。
 見た目の守備範囲の広さが、記者の印象として強く残ったのかもしれない。浅村は過去に一塁で受賞している。

◆三塁手

広尾様1118表3

 パは松田、セは川端と予想したが、実際もこの2人が受賞となった。松田は唯一全イニングを守っている。レアードより守備範囲はやや狭かったが、守備率を考えても文句なしだろう。
 初の首位打者に輝いた川端は、打撃面ではなくやはり全試合(全イニングではない)守備に就いたことが評価されたと思われる。ともに順当の選出となった。

◆遊撃手

広尾様1118表4

 パは中島卓也、セは坂本勇人と予想した。実際は今宮と鳥谷となった。
 RFでは中島、安達、鈴木、今宮の順。今宮は守備範囲でやや劣った。また打撃でも数字面では他球団の選手が良かったが、日本一に貢献したという点で大きく評価されたのではないか。
 鳥谷に関しては全イニング守ったものの、守備範囲が極端に狭くなっている。鳥谷のアウト処理数は587、2試合少ない田中は688、13試合も少ない坂本が605。純粋に守備という点では坂本が上だろうが、出場試合数や打撃成績など総合的な評価が下されたのだろう。

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