坂口、鵜久森補強もバーネット移籍へ。ヤクルト、連覇に向けた課題【新・燕軍戦記#17】
日本シリーズでは、パリーグ王者の福岡ソフトバンクホークスの前にあえなく屈した東京ヤクルトスワローズ。それでも2年連続最下位から巻き返し、14年ぶりのセリーグ制覇を成し遂げたことには胸を張っていい。来シーズンは球団史上2度目のリーグ連覇がかかるが、その前に直面している課題とは……。
2015/11/19
日本シリーズは完敗も、セリーグ制覇は色あせず
日本一を狙うヤクルトの前に立ちはだかった大きな壁。14年ぶりに臨んだ日本シリーズでは、パリーグ王者のソフトバンクにイヤというほど力の差を見せつけられた。それでも──。
「日本シリーズでは敗れましたけども、選手は2月のキャンプから必死で頑張りました。ホントに胸を張っていいと思いますね、セリーグの優勝は。それぐらい大変なものだったし、よくやったと思います」
今シーズンのナインの健闘を、就任1年目の真中満監督はそう言ってたたえた。日本一には届かなかったが、2年連続最下位という『どん底』から巻き返し、14年ぶりにセリーグを制したという事実は色あせることはない。今年の、特に終盤のヤクルトの戦いぶりは、それほどまでに素晴らしいものだった。
シーズン序盤の3、4月、いきなり勝ち越して今年は一味違うと思わせたものの、5月には9連敗を喫するなど、一時は『定位置』の最下位に沈んだこともあった。しかし、オーランド・ロマン、ローガン・オンドルセクの両セットアッパーから守護神トニー・バーネットにつなぐ勝利の方程式を確立できたことで、チーム全体に粘り強さが生まれた。
前半戦終了時点では4位ながら、首位の横浜DeNAとは1ゲーム差。後半戦に入ると二番・川端慎吾、三番・山田哲人、四番・畠山和洋と並べた新打線が機能し、投打の歯車がかみ合っていった。歴史的な大混戦を抜け出し、単独首位に立ったのは9月11日。シーズンが進むにつれてたくましさを増していった選手たちを、真中監督も「オレ以上に勝ちたいという気持ちがすごく伝わるし、全員が強い気持ちで戦ってる感じがする」と、頼もしげに見つめていた。
9月27日の巨人戦(東京ドーム)では14年目のベテラン、石川雅規が中4日のマウンドで5回1失点の力投を見せ、自ら先制打を放つ活躍でついにマジック3が点灯。最後は10月2日の阪神戦、延長11回サヨナラという劇的な形で優勝を決め、本拠地・神宮球場に詰めかけた超満員の観衆の前で、真中監督が歓喜の胴上げで宙に舞った。