楽天・梨田監督の新チャレンジ。攻撃型2番・銀次構想は成功するか?
来季の打線のキーマンは銀次になりそうだ。梨田監督は2番に銀次を据える打順を構想している。クリーンナップの状況次第では来季攻撃型2番が誕生することになりそうだ。
2015/11/20
監督自身も初のチャレンジに
銀次は攻撃型2番のポテンシャルを持っており、確かにハマれば面白い。その1つは、球界有数のコンタクト能力の高さだ。空振り率(空振り数÷球数)は例年リーグ平均値を下回り、5%以下と少ない。空振りしない能力はヒットエンドランなど塁上のランナーを動かしていく時に有効になる。
追い込まれても安定したバッティングをみせる点も魅力だ。
一般的に打者はストライクが増えるたびに打率を下げ、2ストライク以降打率は1割台、良くてもせいぜい2割前半だ。
しかし、銀次はここ3年間.324、.298、.290と3割前後を残し、打者不利カウントを苦にしない。これは盗塁作戦で有効になる。
1塁走者が二盗成功しても、打者が追い込まれてしまえば、ヒットでつなぐことが困難になり、アウトカウントを増やさずに盗塁成功走者を本塁や次塁へ送り込むことがままならなくなる。しかし、銀次なら、その仕事も大いに可能だ。
理想は攻撃型2番ながらも、中には犠打をすべき局面も出てくるかもしれない。そういう時、銀次はバント名人ではないが、手堅く決める技術は有している。
77試合で2番起用された2012年にはチーム最多23犠打を決めており、今季も失敗なしの3犠打は、いずれもファーストストライクで成功させたものだ。
2番・銀次プランは、梨田監督自身のチャレンジにもなりそうだ。
近鉄を率いた時の2番打者は主に水口栄二だった。犠打で送ることも多く、2001年、2004年でリーグ最多犠打を記録している。
2008年から4年間指揮を執った日本ハムでは犠打の多い森本稀哲を209試合で2番起用した。確かに2008年には田中賢介を、2009年には糸井嘉男を2番起用したこともあったが、田中は39試合16犠打、糸井も29試合9犠打。それなりの数をバントしているので、真の意味での攻撃型2番は初挑戦だ。
しかし、この試みを実現させるには、指揮官も「後ろがしっかりしないといけない」と語るように、中軸を打てる新外国人の補強成功が大前提になる。イーグルスの今後の補強戦線を注視していきたい。