火力MAX…記憶に新しい最強打線5選。一時代を築いたプロ野球史に残る強力な“超攻撃型布陣”
2022/06/11
産経新聞社
ダイハード打線
圧倒的な打力でリーグ優勝、日本一を成し遂げたダイハード打線。チーム打率.297のハイアベレージに加え、井口資仁、松中信彦、城島健司、バルデスの100打点カルテット、さらには盗塁数もリーグ2位に60個近い差をつけ断トツの147個と、上位陣の機動力がさらなる破壊力を生んだ。
特に圧巻だったのは、7月27日のオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)戦。1試合32安打のプロ野球記録を樹立し26得点をあげると、数日後の8月1日には同じくオリックス相手に31安打、29得点。オリックス投手陣にトラウマを植え付けた。
そして意外なことに、チーム本塁打数はリーグ4位の154本。個人成績では、3割打者を6人擁しながらも、首位打者(日本ハム・小笠原道大)、最多安打(オリックス・谷佳知)は他球団の選手に明け渡している。突出した個というよりも、全員が高いコンタクト率を誇り、常に誰かが得点圏にいるような打線だったのではないだろうか。
打線としては、1から3番までの3割30盗塁トリオ(川崎は.294)。出塁率4割100打点カルテット(城島は出塁率.399、バルデスは.397)。そして7番には67試合の出場で13本塁打を放ったズレータと抜け目のない打線。さらに8番には再び3割打者で足もある柴原、そして勝負所で試合を決める一打を放つ鳥越と続いた。
注目したいのが、高卒4年目の2番・川﨑宗則だ。
川崎は、自身初の規定打席に到達した年で、出塁率は9番・鳥越に次いで低い数字。30盗塁をマークしながらも、16盗塁死を記録しており、成功率は65%と粗さも目立った。しかし、打線に勢いを与える役割を果たし、翌年以降の足場を作った。
そしてその川崎の積極盗塁を可能にしたのが「3番・二塁」に座る井口だろう。打率.340に加え、27本塁打、109打点と中軸にふさわしい打撃内容、42盗塁(成功率87.5%)という機動力も兼ね備えた。川崎が盗塁すれば井口が返し、仮に盗塁に失敗したとしても、井口が出塁&盗塁でチャンスメイクが可能だったのだ。
そして翌年以降、川崎がさらに成績を伸ばし、チームの中心となっていったのは自明のことである。こうした若手に安心して挑戦させられる環境だったからこそ、パワフルで勢いのあるチームとなったのではないだろうか。