稀代の長距離砲・中村剛也と、大打者への入口に立った山田哲人。個性が違う2015年の本塁打王【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は2015年の本塁打王についてだ。
2015/11/24
ベースボールチャンネル編集部
中村は世紀のホームランアーティスト
2008年、25歳ではじめて規定打席に到達。いきなり本塁打王を取る。
中村がすごいのは、以後、規定打席に達した6シーズンですべて本塁打王を取っていること。フルシーズン出場すれば、必ず本塁打王のタイトルを取ってきた。
これはNPBで規定打席に達した7シーズンすべてで首位打者を取ったイチローに匹敵する空前の記録だ。
中村はNPBで統一球が導入され、本塁打が激減した2011年、キャリアハイタイの48本塁打を記録。これはリーグの本塁打総数の10.57%にあたる。ロッテの本塁打総数46本より多かった。
一人の打者がリーグ本塁打総数の1割を超える本塁打を打ったのは、NPB史上初。これまでは1946年の大下弘(20本)の9.53%が1位だった。
出世が遅かったうえに、レギュラーになってからも故障が多かったために中村の通算本塁打数は308本、これは2015年時点の現役選手でも7位に過ぎない。
しかし、本塁打率は群を抜いている。
32歳の中村の通算安打数は1049本。大打者の目安とされる2000本安打には手が届きそうにない。本塁打も500本台にとどまるだろうが、同時代の打者からでの傑出度を見れば、中村は殿堂入りする価値のある選手と言えるだろう。