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不安定だったリリーフ陣で明暗。86年Vと同じチーム防御率2点台も4位に終わったカープ

開幕前に優勝候補といわれながらまさかのBクラスに終わった今季のカープ。充実した先発陣がそろっており、1986年、2012年に次いでチーム防御率は2点台をマークした。それでもクライマックスシリーズに進出できなかったのはなぜだろうか。

2015/11/27

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86年は防御率2.89で優勝を果たし「投手王国」と呼ばれた

 昨年はクライマックスシリーズに進出、今季は黒田・新井らが復帰し、開幕前はセリーグの優勝候補と目された広島東洋カープ。しかし、優勝はおろかAクラスさえ逃し、クライマックスシリーズ進出も果たすことができなかった。

 黒田博樹が8年ぶりに復帰し、前田健太との両輪で先発陣に不動の柱ができた。新外国人のジョンソンは開幕から安定した投球をみせ14勝、5年目の福井優也は自己最多の9勝を挙げた。
 チーム防御率はリーグ2位の2.92。2点台の防御率は、1986年に阿南準郎監督が指揮を取りリーグ優勝を遂げたあとは、2012年に一度あっただけである。

 2015年、2012年、1986年のカープ、主な先発3投手の成績を比較してみた。

2015年
前田健太 29試合 15勝8敗(最多勝)防御率2.09
ジョンソン 28試合 14勝7敗 防御率1.85(最優秀防御率)
黒田博樹 26試合 11勝8敗 防御率2.55

2012年
前田健太 29試合 14勝7敗 防御率1.53(最優秀防御率)
野村祐輔 27試合 9勝11敗 防御率1.98
大竹寛 24試合 11勝5敗 防御率2.36

1986年
北別府学 30試合 18勝4敗(最多勝)防御率2.43(最優秀防御率)
金石明仁 26試合 12勝6敗 防御率2.68
川口和久 24試合 12勝9敗 防御率3.00

 12年も前田が投手陣の中心にいた。防御率1.53で最優秀防御率のタイトルを獲得し、ルーキーの野村祐輔が防御率1.98で新人王を獲得している。この年のチーム防御率は2.72ながらリーグ4位の成績(優勝した巨人が防御率2.16でリーグ1位)で、4チームが2点台というレベルの高さだった。

 背景には、いわゆる“飛ばないボール”が導入されていたため、投手にとって有利なデータが反映されたと考えられる。防御率が2点台であっても、打線が全く振るわず今季と同じ4位に終わった。しかし、エース前田の成績だけは、当時から群を抜いていたといっていい。

 ちなみに86年のチーム防御率はリーグ1位の2.89。その中心にいたのが、当時プロ11年目の北別府学だった。この年18勝4敗の成績で最多勝、防御率は2.43で最優秀防御率のタイトルを獲得している。

 さらに、4年目の金石明仁が12勝6敗、防御率は2.68で北別府に次ぐリーグ2位の成績を挙げた。その他、川口和久が12勝、ルーキーで10勝を挙げ新人王を獲得した長冨浩志もいた。

 先発の後を受けるリリーフについてはどうか。こちらは15年と86年を比較してみた。

2015年
中崎翔太 69試合 0勝6敗 29セーブ 防御率2.34 被打率0.243
大瀬良大地 51試合 3勝8敗 2セーブ 防御率3.13 被打率0.256
ヒース 43試合 3勝6敗 4セーブ 防御率2.36 被打率0.238
一岡竜司 38試合 2勝4敗 1セーブ 防御率4.14 被打率0.280

1986年
津田恒実 49試合 4勝6敗22セーブ 防御率2.08 被打率0.186

 86年の抑えには、この年初めてストッパーを務めることになった津田恒実がいた。49試合に登板し、4勝6敗22セーブ。「炎のストッパー」と呼ばれるようになり、まだ分業制が確立していなかった時代に“絶対的守護神”として君臨した。
 また津田につなぐ白武佳久、川端順、小林誠二、清川栄治ら中継ぎ陣も充実していた。

 津田の特筆すべき点は、0.186の被打率。マウンドに上がれば、相手打者は2割も打つことができないということになる。

 今季のリリーフ陣はすべて2割台の被打率。安定感に欠けていた。特に2点差以内で勝利を挙げたのは32試合で、優勝したヤクルトが40試合だったことを考えると少ない数字だ。

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