おかわり君、中村剛也は史上最強のスラッガーだった?! 【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第13回目は、歴代の長距離打者を「平均塁打」の数値から考えてみた。
2014/10/27
長距離打者の指標「平均塁打」
日本シリーズは、2戦を終わって1勝1敗、まさに佳境に入ろうとしているが、この時期は記録マニアにとって、2014年の記録を集計する楽しい時期でもある。
今年も偉大な記録、ユニークな記録がいろいろ生まれている。
私は長距離打者のランキングを作るときに「平均塁打」と言うデータを使っている。
「記録の神様」と言われた故宇佐美徹也さんが案出されたもの。
「塁打数÷安打数」という簡単な数字だが、文字通りその打者が平均すれば「何塁打」を打っているかの数値となる。
長打力を図るデータとして「長打率」というものがある。「塁打数÷打数」だ。
しかしこの数値は「打率の高い選手が上位に来る」という難点がある。シングルヒットをたくさん打っても「長打率」は上がってしまうのだ。
その点、「平均塁打」は、二塁打以上を打たないと数値は上がらない。
こちらのほうがより長距離打者の実力を表していると思う。
では「平均塁打」のランキング、セパ同時に一挙に公開しよう。300打席以上の選手が対象となっている。
規定打席以上にせず、300打席以上にしたのは、意外な打者の数字も紹介したかったからだ。
例えばセリーグの20位の中日、藤井淳志、長距離打者の印象はないが、彼は阪神のマット・マートンよりも平均塁打が上だ。
パリーグ6位には何と西武の木村文紀。彼は昨年、投手から野手に転向したばかり。今年は21犠打を記録するなど「つなぐ打者」ではあるが、61安打のうち25本が長打。
ひょっとするとスラッガーに化けるのではないだろうか。
「平均塁打」1位は、エルドレッドと中村剛也、パの2位はメヒア。セパの本塁打王が上位を占めている。順当な結果だ。
しかし、その中でも中村の数字は群を抜いている。実は中村は、現役ではずば抜けた長距離打者なのだ。