2015年MVPの柳田悠岐と山田哲人。三冠王に近いのはどちらか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は柳田と山田の三冠王の可能性について考えてみた。
2015/11/30
ベースボールチャンネル編集部
来季も中軸は強力
次は山田哲人の現状を、ヤクルトの打線から見ていこう。
山田は今季6月まで1番で起用された。3番には川端を置いていた。真中監督は、7月8日に山田を初めて3番に据え、川端を2番に固定した。
以後山田の成績は急上昇、川端も高打率を維持した。
この2人に4番の畠山、5番の雄平という強力打線が機能して、ヤクルトはペナントレースに競り勝ったのだ。
おもしろいことに山田は3番に固定されてから盗塁も増えている。1番打者は塁に出ると徹底的にマークされる。しかし主軸である3番は、続く4番打者に神経を注ぐ必要もあるため、マークがやや緩くなる。そのため、盗塁数も増えたのではないかと思われる。
今年の山田は打点を稼ぐのには不利な1番を68試合も打ちながら、リーグ2位の100打点を挙げた。
もし山田が最初から3番を打っていたら、どんな成績になったのか、シミュレーションしてみた。
なんと山田は三冠王をとっていたことになる。しかも安打だけは川端に次ぐ2位だが、盗塁王も含め4冠王に輝いている。
ソフトバンクほどではないものの、ヤクルト打線は3、4、5番とも打線は強力。おそらく来年も引き続きこの顔ぶれが並び、さらにバレンティンの復活が期待される。
来季も山田一人だけにマークが集中することは少ないと考えるべきだろう。
山田自身が今年並みに活躍すれば……柳田よりも先に三冠王に輝く可能性は大いにあるのではないだろうか。