【データで選出6月月間MVP】14本塁打のヤクルト・村上宗隆に迫った同僚塩見。ノーヒッターのオリックス・山本は投手断トツ
2022/07/07
産経新聞社、DELTA
奪三振能力で被安打リスクを低めた山本由伸
投手のWARは投球の質と量両面でどれだけ貢献したかから求める。質は「奪三振」、「与四死球」、「被本塁打」、量は「投球回」によって決まり、そこから平均的な投手と比較しどれだけ多くの失点を防いだかを算出。それが何勝分に値するのか換算したものが投手のWARとなる。
投手部門でパ・リーグは山本由伸(オリックス)、セ・リーグでは小川泰弘(ヤクルト)がそれぞれ1.67、1.09のWARを記録した。
山本は6月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成したことをはじめ、月間を通して素晴らしい投球を見せた。投手では12球団トップのWARを記録している。平均が20%程度となるK%(奪三振/打者)で29.2%をと平均を大きく上回った。安打は打球が前に飛ばなければ発生することはない。そして三振はその打球が前に飛ぶこと自体を防ぐものだ。山本のノーヒットノーラン達成は、高い奪三振能力によりそもそも多くの打球を発生させなかったことが大きな要因となった。
ただ投手には三振を奪う以外にも重要な能力が存在する。四球を少なく抑える能力、またゴロを打たせる能力だ。ジョー・ガンケル(阪神)は奪三振能力こそ優れてはいないものの、2つの能力でいずれも素晴らしい成績を残した。特に与四球は24.1イニングを投げ1つ。奪三振に頼らずとも、高い失点抑止能力を発揮している。
DELTA(@Deltagraphs)http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~5』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。