落合GM流指導論「欠点2つがプラスになることも」。加藤新コーチは悩める高橋周平らを導けるか
秋季キャンプも終わったが、選手・監督はすでに来年に意識が向いている。技術の向上を目指す選手たちに欠かせない指導者の存在。ここでも落合GMは独自の考えをもっている。
2015/11/30
加藤新コーチは高橋や悩める左打者を導けるか
実際、日本人には、これらの欠点を持った選手が少なくないという。だが、落合は言う。
「左打者が、この2つの欠点を持っていた場合、私ならどちらにも手をつけない。トップの位置から脇に落ちたグリップに、体を開くことによって通り道ができるため、ヘッドが走って三遊間方向へ打ち返すことはできるから。この選手が俊足なら、走り打ちのようなバッティングでも内野安打を稼ぎ、打率はそこそこ残せる可能性があるでしょう。それを、どちらかひとつだけ修正すると、このスイングはできなくなってしまう。せっかく欠点が修正できたのに、持ち味が消えてしまうケースもあるんだ。数学でマイナスとマイナスを掛けるとプラスになるように、技術は一つひとつの動きが密接に絡み合って形になっている。だからこそ、目につくマイナスを消してプラスだけにしようとしても、なかなかできるものではないと思うよ。要は、欠点も含めた全体を見てプラスにするということだ」
ただ、この左打者も、このままでは左腕投手のカーブが視界から消えてしまうなど、苦手を作ってしまう状態にはある。ゆえに、現状のままで打率3割を目指していくのか、やはり理に適ったスイングを身につけ、さらに高いアベレージを目標にするのかは、指導者と選手が十分に話し合った上で進めていかなければいけないという。
このオフ、中日では加藤秀司が打撃コーチに就任した。
現役時代は柔軟なハンドリングで左右に鋭い打球を弾き返し、犠牲フライならいつでも打てる確実性で黄金時代の阪急ブレーブスの三番を任された左打ちの好打者だ。
現役引退後は日本ハムやオリックスでコーチを務め、その後は社会人でも指導を続けてきた。落合自身も手本にしていたという腕の使い方をはじめ、掛け算方式で若い選手のスイングを観察し、どんなプロセスでスイングを完成させていくのか。高橋周平を筆頭に、台頭が求められる打者の進化に注目したい。