ベイ待望の正捕手、”黒羽根”へ。阿部慎之助、嶋基宏…上位進出に不可欠な扇の要
現在、横須賀で秋季練習を行っている横浜DeNAベイスターズ。5位に終わった悔しさを忘れず、すでに来季へ向けて選手たちは始動している。取材日も外国人選手とフェニックスリーグ組、一部のベテラン選手を除けば、ほとんどの選手が参加していた。練習終了後に黒羽根利規選手に話を聞いた。
2014/10/28
baseballchannnel
攻める時は攻める、時には積極的な配球で〝逃げる〟
――ではシーズンを通し、好調の投手陣に対しリード面で心がけたことは。
調子のいいバッターのときは、あえて厳しい要求をしました。攻めるときは攻める。
一方で、逃げるときは逃げる。
強い相手に正面からぶつかっても跳ね返されるだけですからね。
逃げると言ってもネガティヴな意味ではなく、あくまでも積極的な配球だということを意識しました。けど、防御率が良くなったのは僕のせいじゃないですよ。総体的に投手のレベルが上がって、そこにたまたま僕がいて結果が出ただけです。
――キャリア9年、チームの生え抜きとして身につけた一番の捕手術はなんでしょう。
投手一人ひとりに対するコミュニケーションの取り方ですね。
こちらの要望をきちんと伝え遂行してもらう投手もいれば、あまり強く言わないほうがいい投手もいる。相手はどう思っているかわかりませんが、そのへんのやり取りは使い分けています。
――例えば、今年先発に転向し月間MVPを二度獲った山口俊投手に対してはどうですか。お二人は同期だそうですが。
俊の場合はゲーム中に互いの意見を交換して方向性を決めています。ときには連続して内角を攻めるといった難しいこともやりきれた。
俊はこれまでクローザ―として3人で終わらせなければいけない厳しい場面で投げてきて絶対に押さえなければという気持ちが強かった。
けど先発になって、ランナーが出たとしてもゲッツーを取ればいいとか点を取られさえしなきゃいいんだと楽観的というかゲームを長い目で見られる精神的な余裕ができたのがきっと良かったんだと思います。
――次は打撃についてですが、一昨年まで1割台だった打率が、なぜここまで飛躍的に良くなったのか?
テクニカルなことをいうと、昨年肘を痛めて開幕二軍だったのですが、それを期にずっとやってきたけど結果が出なかった擦り気味の打撃フォームを変え、思い切って足を上げるようにしたんです。
これでボールの見方も変わってきて打撃技術が向上しました。ただやっぱり精神的な部分が一番ですね。一昨年まではあまりに打てないので、得点圏にランナーがいるとき自分にまわってきて欲しくないと考えてしまったり……。
つまり打席に向かう準備がまったくできていなかった。でもフォームを変えた昨年は二軍で3割ぐらい打って、一軍でも出場試合数は少なかったけど結果が残せた(.266)。
これで自分に自信がついて、今年はきちんと気持ちを作って打席に入れるようになりました。
――なるほど。野球選手にとっては賭けともいえるフォーム変更できっかけをつかみ、良い方向に転がったというわけですね。
今年はシーズン前に鶴岡(一成)さんが抜けて僕がキャッチャーで年齢的に一番上になったので責任感を強く感じたシーズンでした。
けど、開幕から起用してもらっていたのに4月に怪我をして悔しい思いもしました。守備面やリード、コミュニケーションなどまだまだ課題はありますが、この秋からしっかりと磨いて、来年へと繋いでいきたい。
自分の課題をクリアすることはチームの成績に直結すると思っているので、まだまだ自分を正捕手だなんて思わず、常に危機感をもってこれからも頑張っていきたいと思います。