天国と地獄を味わった7月。相次ぐ離脱もピンチをチャンスに!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#178】
7連勝と快進撃を見せていたが一変。首脳陣を筆頭にコロナで戦線離脱、さらに投打の柱の故障と、突如、チーム編成すら苦慮する状況になってしまった。しかし今こそ、出場している選手にとっては大きなチャンス。奮起してもらいたい。
2022/07/23
清宮へのメッセージ
山田代行の考えは1試合ではわからないが、木田監督代行が来て、第3戦の4番に今川優馬を据えたとき、少しイメージがわいた。木田さんにとってこのメンツは「ボス組」「鎌ケ谷組」ではないか。
実際にイースタンリーグの試合で使ってきた選手たちだ。上で鎌ケ谷やってくれたらいいと思った。そもそも今年は中田翔らがいなくなって、上で鎌ケ谷やってきてたんだし。
注目ポイントは清宮幸太郎をスタメンから外したことだった。5番ファースト王柏融。僕は興味深いと思った。まぁ、清宮が体調を崩していてコロナの可能性があったというケースは考えられる。それで外されてロンロンがスタメン起用。その可能性を捨てきれないが、もう一つ考えられる。木田さんの意思だ。清宮に意思表示するケース。
僕が見たかぎりでは王柏融はタイミングが狂っていて、今、試合に出してもさっぱりなのだ。清宮も調子落ちだが、大差ないとも思える。ただお前より「不調の王柏融」を使うぞ、はかなりきついお灸ではないか。前日、ファイターズはオリックス・椋木蓮にノーヒッターまであと1アウトまで迫られる屈辱を味わったが、カンフル剤として次戦で清宮を外した気がしてならない。
※実際にはその第3戦、王は2打席凡退で退き、清宮が交代出場している。僕はあぁ、コロナじゃなさそうだとホッとした。
主力離脱ではない。発想の転換を
もう清宮にやってもらわねば困るのだ。例えば同学年のライバルと言われたヤクルト村上宗隆が自軍のコロナ禍のなかでどんな存在感を示したか。今は差がつき過ぎて、清宮と村上をライバルと呼ぶ人はいなくなったけれど、チームが大ピンチなのだ。このスタメン落ちで何かを感じてほしい。
それは清宮に限らない。投手も野手も、見方を変えれば千載一遇のチャンスだ。「主力離脱」なんて言われてそれを受け入れてるようじゃ永久に自分が主力にはなれないだろう。
第3戦は「4番の差」で負けたと思っている。オリックス4番吉田正尚はランナーを置いてホームランを放った。初めてプロの4番を任された今川優馬はランナーを置いて凡退した。で、もちろん「初の4番」はエクスキューズにならないんだ。「初の4番」だからハンデがもらえるわけじゃない。今川は吉田正尚を同じ位置までのぼったんだ。それは素晴らしいことだけど、勝たなきゃな。プロだから。
ファイターズはオリックス3連戦の結果、借金18の最下位。5位オリックスが5割に到達したので、パ・リーグの借金を1チームで丸抱えする珍現象となった。奇しくもセは首位ヤクルトが貯金33を丸抱え(2位DeNAが5割ちょうど!)したのと好対照だった。何となく「金持ち父さん貧乏父さん」みたいなことになっている。
長くファイターズを見てきた僕もこんなことは初めてだ。願わくば誰かこの苦境のなかで1人でも2人でもきっかけをつかんでほしい。「あのとき、試合に出られたことがその後のプロ生活の礎となった」という風なドラマを期待して止まないのだ。