自己最多11勝の十亀が変貌した理由。来季は200イニング登板、獅子のエースに【2015年ブレイク選手・西武】
4位に終わったライオンズだが、先発陣には多種多様でレベルの高い選手がそろっている。今季自己最多の11勝を挙げた十亀剣もその一人だ。
2015/12/07
ベースボールチャンネル編集部
2014年の経験で安定感が生まれた
チームが順調に勝ち星を伸ばしていた5月23日の試合前、先発予定の菊池雄星の話になった。相手打者を球威でねじ伏せることのできる菊池だが、この日まで3試合に投げてシーズン未勝利のままだ。
勝負にこだわりすぎているのか。そう聞かれた炭谷は、こう答えた。
「別に、打たれてもいいと思うんですね。力で勝てる部分があるんだから。カーブでタイミングを外せるし。でも、フォアボールでピンチをつくって、勝負どころで甘くなる。十亀と似ていますね。(ストライク)ゾーンに来ればそんなに打たれないから、普通に投げてくれればいいんですけど」
どの打者にも全力で向かっていくスタイルにこだわる菊池は、9勝10敗とふたケタの壁を乗り越えることはできなかった。一方、十亀がそのハードルをクリアすることができたのは、ムラをなくそうと心がけた結果だった。
「たぶん僕はいままで、『今日の十亀なら楽勝』という日と、『今日は全然ダメだな』という日があったと思う。ファンの人が『今日は安心して見られる』という日が続くようにやっていきたいので、安定感を出していきたいと思います」
相手を剛球で完璧に抑え込んだと思ったら、一転、次の試合では制球に苦しんで自滅する。それが、プロ入り当初からの十亀だった。
どうすれば、そんな自分から脱却できるか。2014年、シーズン中にクローザー、中継ぎ、先発と役割が変わる難しさを感じながら、そのヒントをつかんでいた。
「調子が悪いのはしょうがないんですよ。その中で、調子のいい球を中心に組み立てて、悪いなりにも最少失点に抑えるとか。どうしてもダダダって取られることが多かったので。そういうことができてくるといいと思っています」
具体的に言えば、投げ急がないことになる。炭谷の言葉を借りれば、「普通に投げる」。要は気持ちの問題だと、十亀はわかっていた。