岩隈タイプの前田はMLBでも通用。できれば1年目は先発ローテ4、5番手での起用を【小宮山悟の眼】
前田健太のメジャーリーグへの移籍が現実味を帯びてきた。日本球界を代表するエースはアメリカでも活躍するだけの力がある。
2015/12/14
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MLBでも先発として通用する力はある
広島東洋カープが前田健太のポスティングシステムによるメジャーリーグへの移籍を容認。NPBに対して、入札要請の手続きを取った。いよいよカープのエースの争奪戦が始まる。
複数のメディアによると、カープは移籍金を上限の2000万ドル(24億円)に設定したらしい。
当面の関心は、交渉権を獲得するのはどの球団かという点に集まるだろうが、その後は、マエケンがメジャーリーグの舞台でどれくらいの成績を残せるかに移っていくだろう。
マエケンはメジャーで活躍できるのか?
私は「きっと活躍できる」と前向きに捉えている。
もちろん、タイトル争いができるような数字を残せるかどうかは実際にプレーしてみるまでわからないが、少なくとも「先発ローテーションの一角として最低限の仕事」と言える程度のピッチングは披露してくれるのではないか。
日本人選手がメジャーでプレーする場合、大きく分けて「野球の実力」「野球以外の面での適応力」という二つの能力が求められる。
まず、野球の実力に関して、マエケンがメジャーで通用するレベルにあることは言うまでもない。これはマエケンだけでなく、日本のプロ野球の一軍上位の投手…たとえば、侍ジャパンに選出されるような投手についても当てはまることだ。
その実力を額面通りに発揮するためには、私生活を含めた野球以外の面でも米国文化に適応しなければならないが、この点もマエケンなら大丈夫だろう。
何年間も球団へ直訴し続けた末につかんだメジャー移籍のチャンスだ。異文化の環境で生活する上で、多少のトラブルに見舞われたとしても、その思いは揺らがないだろう。
日本球界に比べてメジャーには圧倒的にパワーヒッターが揃っている。その舞台で戦い抜くことを考えた時、一部でパワー不足を危惧する声が上がっているのは知っている。
確かに、ダルビッシュ有や田中将大、渡米直後の松坂大輔などと比較すれば、力強さに欠けるように映るかもしれない。
だが、同じ右の本格派と言っても、マエケンは彼らとは少しタイプが違う。ダルビッシュと田中を同一のスタイルとするならば、マエケンは岩隈久志と同じタイプにカテゴライズされるだろう。
コントロールを武器に、変化球を低めに集め、打者を打ち取っていく。相手をねじ伏せるようなピッチングではないが、それでも十分にメジャーで勝負していけることは、岩隈が既に証明している。