岩隈タイプの前田はMLBでも通用。できれば1年目は先発ローテ4、5番手での起用を【小宮山悟の眼】
前田健太のメジャーリーグへの移籍が現実味を帯びてきた。日本球界を代表するエースはアメリカでも活躍するだけの力がある。
2015/12/14
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唯一の心配はチェンジアップ
心配な点がまったくないわけではない。「プレミア12」では、すっぽ抜けて高めに浮いたチェンジアップを痛打されるシーンが目立った。メジャーのレギュラーシーズンで、同じような投球をすれば、大事な場面で必ず痛い目に遭ってしまうだろう。是非、肝に銘じておいてほしい。
ただ、逆の言い方をすれば、心配なのは、その点くらいだ。先ほども述べたように、全体的に見ればコントロールの良いタイプ。メジャーの舞台でも、大崩れせず、試合を作っていける能力は十分にある。
移籍先が決まり、スプリングトレーニングで実戦が始まると、これまでの日本人投手たちの場合と同じように「日本とメジャーのマウンドの違いへの適応」が話題に上るだろう。だが、マエケンは第3回WBCで、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地AT&Tパークのマウンドを踏んでいる。「メジャーのマウンドはこういう感じだ」とイメージできていることは心強い。
日本のスポーツ紙などの報道によると、現在のところオフの移籍市場では、先発3番手の評価を得ているそうだ。もちろん、どのチームに在籍するかによって事情は変わってくるだろうが、個人的には、重圧のかかる移籍1年目は、できれば先発の4番手か5番手で起用してほしいと思っている。
そうすれば、シーズン序盤に相手エースとの対戦を避けられやすいので、勝ち星も先行するだろう。スムースなスタートを切ってリズムに乗れれば、シーズンを通して本来の実力を発揮し、防御率や投球回というスタッツに関しても、先発投手として合格ラインと呼べる数字を残してくれるに違いない。
ピッチングスタイル。異文化への適応力。これまで積み重ねてきた経験値。マエケンには、メジャーの先発投手としてやっていける能力があると信じている。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。