涌井・炭谷を1年目から抜擢した指揮官の前例。ドラフト成功のロッテ、平沢ら高卒3人にも開幕一軍の可能性
今オフに今江やクルーズら主力選手が相次いで退団したロッテ。その一方でドラフトでは甲子園を沸かせたトップクラスの選手と実績十分の社会人選手をバランスよく指名。ここ数年、順調に世代交代が進んでいるといえる。
2015/12/05
平沢の開幕スタメンも?
千葉ロッテの2015年ドラフトに関してファンの間ですこぶる評判がいい。
近年続いていた大学・社会人卒中心の補強から一転して、今年はドラフト指名9人中(育成ドラフト含む)3人が、高卒組というフレッシュな補強を行ったことが主な要因としてあげられる。
そんな彼たちが出席したファン向けの新入団発表会には、過去最高の約6000人の応募が殺到したが、その人気の中心となった平沢大河、成田翔、原嵩の高卒3人組は、当然人気面だけが先行しているわけではなく、5年後、10年後のチームを支えるであろう将来性が楽しみな補強になった。早ければ来季から十分戦力として活躍できるだけの選手たちである。そういう観点でも2015年のロッテのドラフトは非常に戦略性が高かったといえるだろう。
なかでも注目は、高卒1位としては2007年の唐川侑己以来8年ぶり、高卒野手1位としては2002年の西岡剛以来13年ぶりとなる獲得となった今年の高卒ナンバーワン内野手・平沢大河の存在である。
折しも今江敏晃がFAで東北楽天へ移籍し、ルイス・クルーズが今年限りで退団を表明した、現在のチーム状態である。まだ春季キャンプどころか、自主トレも始まっていない段階ではあるが、気の早いファンからは早くも開幕スタメンを要望する声まで上がっている。
さて、その平沢大河の開幕スタメンは、順調であれば可能性は十分あると読んでいる。
昨年のU18W杯壮行試合で、来年度のドラフトの目玉である創価大学・田中正義の153キロの直球を打ち返した打撃力は、いきなりでも大仕事をやってのけそうな魅力に溢れたものであるし、優勝(クライマックスシリーズ)争いなどで緊迫感ある試合が続くシーズン終盤での昇格よりも、開幕直後のほうが新人選手は使いやすいという一面もある。
平沢に代わる中堅やベテラン選手は正直なところシーズン中いつでも計算ができる。他球団にあらゆるデータを収集される前に、まずは「腕試し」となりそうな気配はある。
指揮を執る千葉ロッテ・伊東勤監督は、埼玉西武の監督時代も、プロ1年目だった涌井秀章を開幕ローテーションで起用したり、同じくプロ1年目の炭谷銀仁朗を51年ぶりの高卒新人捕手の開幕スタメンで起用するなど、高卒選手を1年目から積極的に使っていく前例が残っている。
すでに来年2月から始まる1軍キャンプに平沢の帯同を明言しており、今後どうなっていくのか楽しみだ。
楽しみは平沢だけではない。
3位入団の成田翔と5位入団の原嵩の抜擢も十分に考えられる。二人に関しても伊東監督は「将来ではなく1年目から期待している」と述べており、成田に関しても「まずは先発で」と具体的な起用案まで口にした。
昨年の田中英祐のように連戦が続くタイミングで、予告先発のサプライズがあっても何ら不思議ではない。