「粘る技術」でリーグを代表する遊撃手に。欠点を長所に変えた中島卓也【2015年ブレイク選手・日本ハム】
ファイターズ・中島が7年目にしてフル出場、盗塁王。金子誠の後継者として、リーグを代表する遊撃手の一人に成長した。
2015/12/10
インハイに対応できるか
前述したように、中島は打球が前に飛ばない打者だった。
2012年には主に守備固めとして105試合に出場したが、打率.114と打つほうはお話にならなかった。
当時、中島の打席はトイレタイムだった。
テレビの前、または客席を立っても、何の問題もない。ところが、あれから3年後、中島が打席に立つと、見ている我々は席を立てなくなってしまったのだ。
中島を成功に導いたもの、それは自らにないものを求めるのではなく、持っているもの、それも欠点と思われたものを最大限に生かそうとしたことだ。
彼は前に飛ばない打球を前に飛ばそうとするのではなく、前に飛ばないことを極めようとした。これは発想の勝利である。
この中島の成功は、限られた予算で最大限の結果を出そうと努力するファイターズの姿に重なり合う。
もっともプロは、やられたらやり返せの世界。
中島のファウルに泣かされた相手投手は来季、さらに厳しい攻めをしてくるはずだ。
予想できるのは、上から叩けないインハイへの攻め。これに中島がどう対応するか。来季の焦点のひとつである。
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