オートマティックFAという考え方も。ロッテ・今江の事例から見た日本版FA制度の問題点
選手がFA権行使をする際、宣言したあとの残留を認めない球団が複数あるのは周知の事実だ。先日選手会はNPBへの事務折衝で、この球団の方針を公表しないように申し入れた。
2015/12/21
行使した場合、残留を認めないのは選手への圧力
12月18日、日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が行われた。その中で選手会側は、フリー・エージェント(FA)権を行使した選手の残留を認めないという方針を、球団が公表しないよう正式に申し入れた。
FA権は選手の権利であり、それを行使した場合に残留を認めないというのは、選手への圧力となり、フェアではないという意見が多かったからだ。
実際、千葉ロッテの今江敏晃が11月10日にFA権を行使する会見を開いた際も、入団から14年プレーしたチームのことに話題が及ぶと涙を流した。
その姿は、権利を行使すればチームに残れないという状況の中で悩み、葛藤があったことを物語っていた。
だが、先に書いた事務折衝の席でも、NPB側で出席した阪神の四藤慶一郎球団社長は、各球団の裁量でやっていることであり、基本的に問題はないとの認識を明らかにしている。1993年のシーズンオフに導入され、すでに23年目を迎えているFAだが、こうした問題は導入当初からあるものの、具体的な解決案は示されていない。
「難しいことではないと思う。要は、ドライな契約社会のアメリカと、義理と人情を大切にしてきた日本とのとらえ方の違い。それをフォローするシステムにすればいいだろう」
自身も1993年にFA権を行使して中日から巨人へ移籍した落合博満は、その当時から日本におけるFA制度のあり方に対して持論を展開している。