「つばめ改革」実ったヤクルト。来季は球団史上2度目の連覇に挑戦【2015年通信簿】
今季、混戦セリーグを制したのは東京ヤクルトスワローズ。リーグ屈指の強力打線を武器に来季は球団史上2度目の連覇に挑む。
2015/12/31
「優勝おめでとうございます」
今から2年前、ヤクルトの真中満監督にそう言ったことがある。いや、正確には当時は真中『二軍』監督だった。場所は埼玉・戸田にある球団寮の食堂。この年、ヤクルトのファームはイースタン・リーグを5年ぶりに制覇し、最終戦終了後に開かれたささやかな祝勝会でのことだった。
それからわずか2年で、ヤクルトの一軍を率いる真中監督に対して同じセリフを口にすることになるとは、その時は思ってもみなかった。だが、昨年10月の就任会見で「もちろん優勝を目指します」と抱負を語った当時43歳の青年監督は、就任1年目で見事にそれを実現してみせた。
救援陣は両リーグNO.1、来季は先発陣の奮起に期待
【投手4点】
昨年と今年の最も大きな違い──。それはなんといっても投手陣に尽きる。昨年は両リーグワーストのチーム防御率4.62だったのが、今年は3.31(リーグ4位)と大幅に改善され、救援陣に限れば両リーグトップの防御率2.67を誇った。
オーランド・ロマン、ローガン・オンドルセクの両セットアッパーから、セーブ王のトニー・バーネットにつなぐ「ROB」トリオがほぼシーズンを通して機能し、終盤に入ってロマンにやや疲れが見えてくると秋吉亮、久古健太郎が台頭。逆転負けが19試合と両リーグで最も少なかったのは、彼らの奮闘あればこそだ。
その一方で先発陣は、6月の終わりに復帰した館山昌平がカムバック賞に輝き、石川雅規はシーズン終盤に中5日、中4日でフル回転するなどベテランの健闘が光ったものの、二ケタ勝利は石川(13勝)と開幕投手の小川泰弘(11勝)だけ。完投がチーム合計で両リーグ最少の3という点にも、物足りなさが残った。
これは強力な救援陣が後ろに控えていたからこそでもあるが、石川がたびたび話していたように「リリーフ陣におんぶに抱っこ」だった感は否めない。「ROB」からロマンとバーネットが抜ける来季は、小川のさらなる飛躍に加え、杉浦稔大、石山泰稚らの成長、さらには成瀬善久、村中恭兵といった実績あるピッチャーの復活も含め、先発陣の奮起に期待したい。