ライオンズ10巡目・松本直晃、異色の経歴を売りに。投手として硬式を握ってわずか9カ月でプロへ
今年のドラフトで埼玉西武ライオンズから10巡目で指名を受けた松本直晃は、職歴・投手経験歴と異色づくめの選手だ。
2015/12/12
目標は開幕一軍
ただし、まだまだ課題もある。投手として、フォームが固まり切っていないのだ。
松本は自身の感覚をこう説明する。
「僕としては今でもたまにサードとかショート、外野から投げる送球が、一番強いときがあるので、逆に言えば、そういう球をマウンドから投げたいという思いはあります。どうしてもマウンドに行くとピッチャー、ピッチャーしようとしちゃって、なかなかそのときに自分の思った球がいかないときもあるので」
投手として硬式を握り始めたのはわずか9カ月前。そう考えれば、ここまでかなりのスピードで伸びてきたと言えるだろう。事実、西武の担当スカウトは「伸びしろに期待」としている。
一方で、松本はすでに25歳。高卒なら7年目を迎えているシーズンだ。これから数年以内に結果を出すことが求められ、いわば即戦力の立場にある。実際、松本自身は来季の目標を「開幕一軍」と掲げている。
伸びしろとは「課題」を抱えているという意味であり、同時に「可能性」を持っているということだ。プロのスカウトが25歳、しかも投手経験の少ない松本にポテンシャルを見出したのだから、秘められた能力は高いのだろう。それが果たしていつ表に出現し、一軍のマウンドに立つのか。
新入団選手発表会で興味深い光景があった。ドラフト6位の本田圭佑が自己紹介しようとすると、マイクの調子が悪くて話し出せなかったのだ。
すると、ひとりはさんで左隣に座っていた松本が自分のマイクをすっと差し出した。普通のルーキーなら緊張するような壇上で、周囲を冷静に観察し、行動に移せるのはメンタルが強いからだろうか。
好きな言葉は「下克上」。そう語る松本が野球人生をどんなフィナーレで終えるのか、楽しみになるプロでの第一歩だった。